光村推古書院が2025年1月17日(金)に刊行を予定している写真集『百島百祭』は、日本の島々で展開される祭りの風景を捉えた黒岩正和の集大成です。著者の黒岩氏は、二十数年をかけて有人の日本の全島を訪れ、400以上の島の祭りを撮影してきました。本書には、その中から厳選された77の祭りが収められています。
祭りはただの行事ではなく、その土地の文化や人々の生きざまがを色濃く反映しています。たとえば、香川県の小豆島で行われる「川めし」は、無縁仏を供養する独特の風習で、地域の住民が河原に集まり伝統を守る姿は感動的です。また岡山県の真鍋島での「走り神輿」は、300年以上の歴史を誇り、島の狭い路地や海岸を駆け抜ける迫力ある光景を捉えています。
大三島における「一人角力」や、沖縄県の宮古島で行われる「サティパロウ」など、各地の祭りはそれぞれに異なる意味を持ち、地域特有の神話や文化が息づいています。著者の黒岩氏は「同じ島や同じ祭りはひとつとして無い」と語り、この作品にはその思いが込められています。
書中には写真と共に英語での説明が併記されており、それぞれの祭りの歴史や背景が詳しく紹介されています。また、巻末には祭りの開催時期やその由来に関する情報も掲載されています。
さらに、黒岩正和氏の写真展「島魂」も2025年に開催される予定です。この写真展では、日本の島々の風景や祭りをテーマにした作品が展示される予定で、入館は無料。東京と大阪の二カ所で行われ、それぞれ異なる魅力を持つ島々の祭りを生で楽しむことができます。
著者の黒岩正和氏は和歌山県出身で、大学卒業後に写真家のアシスタントを経て独立しました。彼の作品には、東南アジアや雲南省の少数民族の生活を長期間にわたり撮影した経験が生かされています。特に日本の祭りに魅了されてからは、有人の日本のすべての島を撮影し続け、多くの文化や人々との出会いを通じて、その土地の魅力を表現してきました。
この『百島百祭』は、ただの写真集でなく、日本の文化や人々の生活の息吹を感じさせる作品です。私たちが見逃しがちな地域の伝統や、守られてきた風習に目を向けるきっかけになることでしょう。是非、手に取ってその魅力を感じていただきたい一冊です。