組織開発に革新をもたらす「TEAM FORGING®」
最近、シンガポールのAha Moment Innovation社が開発した組織開発ゲーム「TEAM FORGING®」が日本市場に上陸しました。これを提供するのは、株式会社ゲームベースドラーニングで、東京都渋谷区に本社を構えています。このゲームは、現実のビジネスに即したシナリオを使用して、チームの意思決定やコミュニケーションのパターンが可視化されることを目的としています。これにより、参加者は自分の行動がチーム全体に与える影響を深く理解しながら、組織内の隠れたダイナミクスを発見することができます。
「TEAM FORGING®」は、TikTokやAppleをはじめとする多くの企業で導入され、すでに10ヵ国以上で活用されています。日本では、教育系スタートアップの株式会社asonovaが初めてこのゲームを自社の研修として取り入れました。
変革する人材育成の現場
近年、企業内の教育や組織開発においては、単なる知識の伝達から行動変容を促す実践型の学びへとシフトしています。特に多様性が進む現代の職場では、心理的安全性や意思決定過程、チーム内での役割分担といった見えにくいダイナミクスへの理解が、全員に求められています。そうした背景を受けて、同社は「ゲームを活用した関係性や行動特性の可視化」という新たなアプローチを採用しました。
「TEAM FORGING®」の特長
「TEAM FORGING®」はマルチプレイヤー型のシミュレーションゲームです。その特長には以下のようなものがあります:
- - シナリオベースの課題設計: 実際のビジネス課題を基にしてリアルな意思決定を行うことで、チーム内の関係性構築と対立解消が可視化されます。
- - 参加人数の柔軟性: 3人から200人まで同時に参加可能で、多人数のゲームにも対応しています。これにより、バーチャル空間での連帯感が生まれます。
- - 専門理論に基づく設計: Tuckmanのチーム成長モデルや心理的安全性、リーダーシップ理論など、15以上の理論をもとに構成されています。
- - 分析ダッシュボード: ゲーム内での発言や行動がリアルタイムで記録され、プレイ後には個々やチーム全体の行動特性がデータとして可視化されます。
このゲームは、チームの状況に応じて複数の課題ステージが用意されており、実際のビジネスで直面する様々なシナリオを仮想体験できます。例えば、全員が同じ情報を持つ場合の合意形成を体験する「The Lotus」や、限られた情報で意思決定を行う「The Elephant」など、各ステージがチームワークやリーダーシップの質を高めるための貴重な学びを提供します。
株式会社asonovaによる初導入
大阪に拠点を置く株式会社asonovaが、TEAM FORGING®を日本で初めて社内研修に導入しました。これまで子ども向けのゲームを通じた教育事業を展開していましたが、今回初めて大人向けの研修を実施しました。その結果、参加者からは次のようなポジティブなフィードバックが寄せられています:
- - 「ゲーム内で行動の違いが見える化され、建設的な対話が生まれた」
- - 「自分の発言や意思決定がチーム全体にどのような影響を及ぼすかを理解する機会になった」
- - 「体験を通じて学ぶ重要性を実感した」
これにより、ゲームが単なる遊びではなく、能動的に学びの機会を提供するためのツールであることが示唆されています。
今後の発展
今後、株式会社ゲームベースドラーニングは「TEAM FORGING®」を活用した組織開発支援を本格的に展開する予定です。具体的には次のシーンでの活用を想定しています:
- - リーダーシップ開発やチームビルディング活動
- - 新体制での導入や異動時の支援
- - チーム関係性や心理的安全性の見直し
- - 世代間の相互理解の促進
また、自社開発の非認知能力評価モデル「4CsGram」と組み合わせた循環型の学習支援にも取り組んでいく考えです。このように、今後も「TEAM FORGING®」は新たな形の学びを企業に提供していくでしょう。