ミャンマー軍の残虐行為と日本企業の責任:ティラワ港湾への撤退の必要性
ミャンマーの現状と日本企業の関与
ミャンマーでは、最近の大地震後も状況は悪化しており、学校がミャンマー軍による空爆を受け、子どもたちが犠牲になるという悲劇が続いています。こうした背景の中で、ミャンマー軍は経済的にはビジネスからの収入に依存していることが広く知られており、国連の独立調査団が2019年に発表した報告書でも、ミャンマー軍とその関連企業が外国企業との関係によって国際人権基準の違反に加担している可能性が高いと指摘されています。特に、ティラワ多目的国際ターミナル(TMIT)事業は、政商企業との関与が問題視されています。
日本とミャンマーの市民団体7つは、上組、住友商事、豊田通商、そして政府が出資する海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)と日本貿易保険(NEXI)に対し、TMIT事業への関与についての懸念を表明しました。これにより、ミャンマー軍が主導した2021年のクーデター後における人権デューデリジェンスの実施状況についても疑問が呈されています。
具体的な懸念と要請
ティラワ多目的国際ターミナルは、日本の政府開発援助(ODA)の一環として建設されました。上組は運営権を取得し、JOIN、住友商事、豊田通商と共同でターミナル運営会社を設立しましたが、この会社が政商企業EFRグループと関係を持つことが明らかになっています。国連の公表は、これらの企業が人権を侵害する行為を助長する可能性があると警告しています。
そのため、上記の市民団体は、TMIT事業からの撤退を行い、透明性を持ったプロセスを確保することを求めています。具体的には、事業からの撤退がどのように行われるのか、撤退後の従業員はどのように保護されるのか、さらには軍政に金銭的利益を与えないことの確約が求められています。現在、JOINからの具体的な回答は得られていません。公的な機関が適切な説明責任を果たさないことが問題視されています。
NEXIの対応と人権リスク
NEXIは、TMIT事業は「負の環境影響が最小限である」として環境レビューを実施しなかったと説明しています。しかし、同社はOECDの指針を遵守するものの、発言の中には人権へのリスクについての言及が欠如しているため、さらなる透明性の提供が求められています。
市民団体は、JOINおよび関係企業が軍政から金銭的利益を得ないように責任をもって撤退する必要があると強調しています。このような撤退のプロセスは、通常のビジネスの決定とは異なる特別な配慮を持つべきだとの意見が述べられています。
市民団体の取り組み
メコン・ウォッチの木口事務局長は、「関係企業と公的機関には、ミャンマーの軍政に利益をもたらさない義務がある」と述べています。また、ジャスティス・フォー・ミャンマーのヤダナーマウンは、関係する企業と日本政府が明確に人権基準に従った行動を取ることを求めています。今後、人権問題への配慮がどのように具体化していくのか、注視する必要があります。
結論
このような状況下で、日本企業がミャンマー軍政との関係を断ち、人権を尊重した透明性の高い撤退を行うことは、今後の国際的な責任を果たす上でも極めて重要です。市民団体の活動を通じて、企業の公開性と人権への配慮が広がることを期待しています。
会社情報
- 会社名
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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク
- 住所
- 東京都江東区清澄3-6-8
- 電話番号
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03-3820-5831