外国にルーツを持つ生徒への支援体制の実態と課題
千葉大学インターカルチュラル・スタディセンター(ICSセンター)が、千葉県から受託し2025年度に実施した全国調査の結果、外国にルーツを持つ生徒への支援の実態と直面する課題が明らかになりました。調査対象は、外国籍だけでなく日本国籍の生徒も含まれ、日本での日常生活を送れる生徒も含めた広範な理解を目指しました。調査の背景には、在留外国人数の増加と、それに伴う日本語指導が必要な生徒の増加があり、教育界における多様性の重要性が高まっています。
外国にルーツを持つ生徒の現状
日本国内では、2025年には約400万人の外国人住民が在留すると予測されており、特に千葉県でもその人数は増加しています。外国にルーツを持つ生徒が公立学校に在籍する動向はここ数年で顕著です。しかし、彼らが直面している課題は単に言語の壁にとどまらず、文化的摩擦や社会的排除、進路形成の難しさなど多面的なものです。特に高校生では、中退率や就職率、さらには大学進学率の低下といった問題が浮き彫りになっています。
千葉県における支援策の現状
千葉県では、外国人住民の数が全国でも第六位で、多様な国籍と文化背景を持つ住民が住んでいます。この地域においては、外国にルーツを持つ生徒への支援が教育政策の一環として強化されていますが、高校段階においての実態調査は不足していました。現行の支援体制のもとでは、学校が外国にルーツを持つ生徒の在籍数や国籍を把握している事例は少なく、約67%の学校が国籍についての情報を持っていないという結果が出ています。このような状況では、適切な支援を提供することが困難です。
調査内容と結果
本調査は、千葉県の県立高校95校、教諭294名、生徒276名、および保護者122名を対象にしています。学校の受入れ体制や教員の指導方法、生徒の学習状況、保護者からの支援ニーズなど多様な観点から分析されました。
調査の結果、学校側では生徒の在籍状況を把握していないことが多く、教材や指導に必要な情報が不足していることが分かりました。教員たちは、学習支援の実施においてマニュアルの不備を感じつつ、一人ひとりの状況に応じた支援を試みたものの、情報の不足から十分な結果を得られていないようです。
一方、生徒たちにとって、学校生活は楽しいと感じる者が多いと報告されています。約90%が学校生活を肯定的に捉え、友人関係も良好であるとのことです。しかし、言語に関しては国語の理解や作文能力に課題が見られ、支援が必要とされる状況も確認されました。
保護者については、日本語への不安や進路に関する情報が得にくいと感じているケースが多かったため、学校との連携の重要性が浮き彫りになりました。
今後に向けた支援の展望
本調査では、外国にルーツを持つ生徒に対する支援は、日本語だけでなく、学習支援や生活指導、家庭との連携も考慮しなければならないことが示されました。一人ひとりの異なる背景を考慮し、個別最適な支援が求められます。また、学校・教員・生徒・保護者がそれぞれの立場を理解し合い、密に連携することが外国ルーツを持つ生徒の学びや成長を支える鍵であると結論づけられました。これらの調査結果は、今後の教育施策に活用されることが期待されています。
千葉大学インターカルチュラル・スタディセンター(ICSセンター)は、多文化共生を目指して、多くの取り組みを進めており、外国にルーツを持つ子どもたちへの支援を続けています。公式サイトではさらに詳細な情報を得られます。