水難事故予防の新コンテンツ「おぼれ100」公開！その目的は？

水難事故予防の新たな試み「おぼれ100」

2024年度から新しい水難事故予防プロジェクト「これで、おぼれた。『おぼれ100』」が、日本財団の提唱で公式にスタートしました。これは、水難事故の隠れた予兆を可視化し、時には危険な状況に置かれる可能性のある人々に、事前に対策を講じてもらうことを目的としたものです。

日本では毎年多くの水難事故が発生しており、その原因はいくつかの要素によって引き起こされています。しかし、これまで集まってきた公的なデータは「どこで、何人が、どのような状況で溺れたのか」という視点に偏っており、事故未満の「ヒヤリハット」体験についてはあまり注目されていませんでした。そこで「おぼれ100」プロジェクトでは、溺れに至る前の状況を深く掘り下げるため、溺れ体験を持つ1,000人にアンケートを実施し、そのデータを集めることにしました。

ヒヤリハット調査の実施

このプロジェクトでは、まず「ヒヤリハット」と呼ばれる軽微な溺れの兆候を分析しました。これは、「ハインリッヒの法則」という概念に基づいたもので、重大な事故の背後には多くの軽微な事故や危険なシーンが存在しているとされています。「おぼれ100」はこの法則を念頭におき、実際に溺れた経験のある人々に状況の詳細を尋ねることで、溺れの原因を明らかにし、その予防につなげることを目指しています。

プロジェクトの目的

このプロジェクトの目的は主に三つに分かれます。第一に、溺れに至る「入口」の可視化です。溺れる前の行動や状況を示すことで、危険についての認識を深め、共感を促します。第二に、みんなが「自分ごと」として危険を認識し、回避の意識を高めることです。「自分も同じことを経験したかもしれない」と感じることで、他人事ではなくなります。

第三に、データを共有し、社会全体での共助意識を育むことです。溺れ体験の収集と共有を通じて、「そなえはみんなで作る」意識を広めていこうとしています。これにより、より実効性のある水難事故の予防策を立てることができるのです。

今後の展開

新しいコンテンツは様々なメディアを通じて広く供給されます。教育機関や自治体、NGOが利用できるように設計されており、より多くの人々が水難事故防止について考えるきっかけとなることが期待されています。実際の溺れの経験を持つ人々がその教訓をシェアし、助け合うことで、安全な海の未来を共に築いていくのがこのプロジェクトの狙いです。

この取り組みは、日本財団が推進する「海と日本プロジェクト」の一環であり、次世代へ美しい海を引き継ぐことを目指しています。海がもたらす楽しさと同時に、その危険を理解し、対策を講じることで、安全な楽しみ方を広めることができるのです。

公式サイトやInstagramでも情報が発信されており、今後も注目です。