テラヘルツ波活用の仮想端末が実現する次世代通信の可能性

超高速伝送の未来に迫る

通信技術の進化は、新たな時代を迎えつつあります。パナソニックホールディングス、国際電気、名古屋工業大学、KDDI総合研究所の共同チームは、テラヘルツ波を用いた高性能の仮想化端末の実証実験に成功しました。この取り組みは、Beyond 5Gや6Gと呼ばれる次世代の通信標準を実現するための重要なステップです。

テラヘルツ波の力

テラヘルツ波が注目される理由は、その高い周波数特性によるものです。従来の通信技術では限界のある帯域幅を持ち、超高速通信を可能にします。本実証実験では、4.8 GHzの帯域幅を用いて、なんと38.4 Gbpsもの速度でデータを伝送することに成功しました。これは、5Gが提供する最大帯域幅400 MHzの12倍に相当します。

仮想化端末のコンセプト

この仮想化端末のコンセプトは、周囲の様々なデバイスを同時に連携させ、テラヘルツ帯による超高速通信を実現するというものです。これにより、個別のデバイスが持つアンテナを一つの端末として扱い、効率的な通信を実現します。テラヘルツ波の使用は、周波数の利用効率を向上させる大きな可能性を秘めています。

実証実験の詳細

実証装置は、パナソニックが開発した超広帯域のベースバンド信号処理装置、国際電気によるテラヘルツ帯送受信機、名古屋工業大学によるマルチビームアンテナが組み合わさっています。KDDI総合研究所は、これらの技術を組織的に連携させ、実証実験を進めました。実験では、300 GHzのテラヘルツ波を用いたマルチビーム伝送を行い、受信データの集約までを成功させています。

4K映像伝送の成功

また、4K非圧縮リアルタイム映像の伝送実験でも成功を収めています。これは、アプリケーション通信の速度を14.8 Gbpsまで引き上げるための誤り訂正符号化（LDPC符号化）を用いた結果によるものです。リアルタイムで高画質な映像伝送が可能となることで、エンターテインメントや業務の円滑な進行が期待されます。

今後の展開

これからの時代は、さらなるテクノロジーの革新によって、超高速無線通信が普及することでしょう。本実証実験の成果は、Beyond 5G/6Gの実用化に向けた新たな道を開くものです。研究開発は今後も続き、新しい通信の形を社会にもたらすでしょう。テラヘルツ波を利用した通信技術の進展は、私たちの生活をどのように変えていくのか、非常に楽しみです。