最近の調査によると、株式会社LIFULL(ライフル)が運営する不動産情報サービス「LIFULL HOME'S」に、空き家の流通状況に変化が見られています。この調査は、2024年7月から実施される仲介報酬上限の引き上げを受け、その影響を検証するために行われました。ここでは、実際の物件数や消費者からの反響を詳しく見ていきましょう。
まず、仲介報酬上限の引き上げが空き家にどのように影響しているのかを探るために、LIFULL HOME'Sに掲載された800万円以下の中古物件のデータを分析しました。このカテゴリーの物件は、仲介手数料の特例改正前に比べて、2024年7月には全国的に5.7%を占め、前年比で微増が見られました。以降、8月には5.8%、9月には5.9%と、少しずつではありますが流通が増加しています。
特に地方部では動きが顕著で、同区域における800万円以下の物件の割合は、2024年7月時点で7.9%から10月には8.2%へと増加しています。これは、報酬の上限引き上げが一因と考えられ、今後もこの流れが続くか注視が必要です。一方で、都市部においては、状況に目立った違いは見られず、800万円以下の物件は2.9%と依然として低迷しています。
次に、消費者からの反響を見てみましょう。全体の反響の内訳を調べたところ、800万円以下の物件が全体の約3割を占めることが分かりました。具体的には、「400万円超~800万円以下」の物件が17.7%、また「400万円以下」が10.9%という結果です。
さらに、エリア別に見ると、都市部では800万円以下の物件は2.9%に過ぎないにもかかわらず、反響は11.3%を占めるなど、需要が高いことが伺えます。地方部でも、800万円以下の物件が8.2%であるのに対し、反響は28.8%に達しており、見かける物件数に対して需要が高い事がわかります。
このように、空き家の流通は少しずつ活発化しているものの、実際には様々な課題も残っています。低廉な物件を取り扱う不動産事業者にとって、ここでの規制緩和は追い風ですが、消費者の物件選定には「古い」「汚い」「不安」といったマイナスイメージが影響しています。このため、消費者に安心して既存住宅を選んでもらうには、売買瑕疵保険やインスペクションなど、新たな取り組みや制度の活用が見込まれるでしょう。
それでも、今回の報酬規制の見直しをきっかけに多くの業者が動き出すことで、消費者が求める低廉な不動産市場が形成されることが期待されます。業界全体がこの改革をいかに具現化していくか、今後の展開に注目が集まるでしょう。