「母親の後悔」に光を当てる研究人生 - 恵泉女学園大学学長 大日向雅美さんインタビュー
TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』では、6月30日(日)と7月7日(日)に、恵泉女学園大学学長の大日向雅美さんをゲストに迎えます。
大日向さんは、コインロッカーベイビー事件をきっかけに、半世紀にわたり母親や母性について研究を続けてきた第一人者です。番組では、母親たちの「言葉にしてはいけない思い」と向き合ったときの心境や、母親の後悔に光を当てることの意義について語ります。
「言葉にしてはいけない思い」と向き合う
大日向さんは、研究を通して多くの母親たちと出会ってきました。中には、自分の子どもを愛せない、あるいは愛情表現がうまくできないと悩む母親もいました。
「言葉にできない、誰にも相談できない、そんな思いを抱えている母親はたくさんいます。でも、その思いを隠したままでは、心の健康を損なう可能性もあります。私は、そんな母親たちの声を聞き、寄り添い、そして少しでも楽になれるように研究を続けています。」
大日向さんは、母親たちの「言葉にしてはいけない思い」に耳を傾け、その背景にある社会構造や文化的な要因を分析することで、母親たちの苦悩を理解しようと努めてきました。
研究の原点 - 実験心理学との出会い
大日向さんが発達心理学や母性について研究するようになったのは、大学時代に実験心理学に出会ったことがきっかけでした。
「実験心理学の面白さに魅了され、研究の世界に足を踏み入れました。そして、人間の発達や行動を科学的に研究することで、社会に貢献したいと考えるようになりました。」
大学院では、母親と子どもの関係性を研究テーマに選びました。当時は、母親の役割や母性を研究することはタブーとされていました。しかし、大日向さんは、母親が抱える様々な問題や葛藤に光を当てる必要があると考え、研究を続けたのです。
地域での子育て支援活動
大日向さんは、研究活動に加え、地域で子育て支援活動も行っています。特に力を入れているのは、団塊世代男性の定年後の人生設計を支援することです。
「定年後の男性は、社会から役割を奪われたような感覚に陥りがちです。しかし、まだまだ人生はこれから。地域で活躍できる場を提供することで、男性の生きがいを見つけるお手伝いができればと考えています。」
大日向さんは、地域のNPOと連携し、定年後の男性が自身の経験を生かせるようなボランティア活動や地域貢献活動などを企画しています。
“目の前のことに懸命に取り組む”人生観
大日向さんは、常に「目の前のことに懸命に取り組む」ことを大切にしています。
「研究、教育、地域活動、様々なことに取り組んでいますが、どれも私にとって大切なものです。目の前の課題に真剣に取り組み、その中で新しい発見や喜びを見つけていくことが、私にとって生きがいです。」
大日向さんの言葉からは、研究者としての情熱、教育者としての責任感、そして地域への深い愛情が伝わってきます。
大日向雅美さんのインタビューは、TBSラジオ『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』にて、6月30日(日)と7月7日(日)に放送されます。ぜひお聴きください。