東京ガスと三菱自動車が共同で進める電動車遠隔充電制御実証を開始

電動車の革新：遠隔充電制御の実証実験

東京ガス株式会社、三菱自動車工業株式会社、Nature株式会社の三社が、2025年度下期から電動車の遠隔充電制御に関する実証実験を開始することが発表されました。この実証実験は、東京都が推進する「家庭の環境アクション推進事業」に採択されています。

目指すはゼロエミッション東京

東京都は「ゼロエミッション東京戦略Beyond カーボンハーフ」を策定し、2030年までに都内の新車販売の100%を非ガソリン車とする目標を掲げています。この施策の一環として、電動車の普及を促進するため、充電行為の時間や方式を最適化し、電力供給の安定化を図ろうとしています。特に、夕方の帰宅後に充電需要が集中することが問題視されており、これを解決するための制御技術が求められています。

充電制御システムの構築

提案されている遠隔充電制御システムは、次の3つの要素に基づいて充電時間を最適化します：
1. 車両データ（SOCなど）
2. 電力市場価格
3. 宅内消費電力

これらのデータを連携することで、地域の電力需給が逼迫するのを防ぎ、CO2排出量の削減や利用者の電気料金を引き下げることを目指しています。

具体的には、コネクティッド技術を利用し、リアルタイムで取得した車両データや電力市場の価格に基づいて、電動車の充電計画が立てられます。これにより、遠隔地からの指示によって家庭内の充電器が自動で制御されることになります。

課題とその対策

一方、戸建て住宅においては、充電中に契約容量を超えてブレーカーがトリップすることが悩みの種とされています。本実証では、宅内の消費電力を監視し、契約容量の制限を超えそうな場合には、充電計画を自動的に調整し、ブレーカーの遮断を防ぐ仕組みを検討しています。

さらに、太陽光発電を利用している家庭では、余剰電力を最大限活用した充電が行えるよう、特別な調整が行われます。このように、家庭のエネルギーを最適化することにより、発電した電力の自家消費率を高めることも重要な目的の一つです。

モニター募集の詳細

本実証のためのモニターは、東京都内の戸建て住宅に住む『アウトランダーPHEV』の所有者が対象です。参加にはいくつかの条件があり、特典としてQUOカード2万円分や充電量に応じたポイントが進呈されることになります。モニター募集は2025年9月5日から23日まで行われ、実証期間は2025年12月から2026年5月にかけて予定されています。募集の詳細は公式ウェブサイトで確認できます。

このプロジェクトを通じて、東京ガスはエネルギー管理技術、三菱自動車は車両情報の取得、Natureは充電計画の策定を担うことで、充電の効率化を実現し、環境保護と経済的利益の両方を検証する予定です。これにより、将来的な事業化へ向けた重要なステップとなることでしょう。