STマイクロエレクトロニクス、産業機器向けに幅広い動作温度範囲を持つToFセンサを発表
STマイクロエレクトロニクスは、-40°Cから105°Cという幅広い動作温度範囲を持つシングルゾーンのdToF(direct Time-of-Flight)測距センサ「VL53L4ED」を発表しました。このセンサは、過酷な環境下でも安定した性能を発揮し、産業機器やFA(ファクトリ・オートメーション)機器、ロボットの誘導システム、屋外照明の制御、セキュリティシステムなど、様々な分野で活躍が期待されます。
VL53L4EDは、STのdToF測距センサ「VL53L4ファミリ」の最新モデルで、レーザー・エミッタとSPAD(単一光子アバランシェ・ダイオード)検出器アレイを集積したオール・イン・ワン・モジュールです。幅広い温度条件下で信頼性の高い測距を実現し、次世代レーザーを搭載することで、強い周辺光下でも高い精度での近距離測距が可能です。また、組み込まれたプロセッサにより自律動作が可能となり、消費電力を抑えることができます。
VL53L4EDは、最大1150mm離れた対象物の距離を正確に測定でき、周辺光の強い環境下でも、特殊な設定により800mmまでの測距が可能です。さらに、最短1mmまでの近距離測距にも対応し、最大周波数は100Hzです。
STは、VL53L4EDの開発を支援する拡張ソフトウェア・パッケージ「X-CUBE-TOF1」と、ドライバ「STSW-IMG034」を提供しています。これらのソフトウェアにより、STM32Cube開発エコシステムを活用し、VL53L4ファミリのセンサを使用した製品を迅速に開発することができます。また、VL53L4EDとVL53L4CDを超低消費電力の近接検知モードに切り替えることができる割込みコマンドも提供されており、ユーザ検知やシステム起動、タッチレス制御などの用途にも使用できます。
ハードウェアとしては、サンプル・コードの動作確認やアプリケーション構築を簡略化する、STM32 Nucleoボード「NUCLEO-F401RE」用の機能拡張ボード「X-NUCLEO-53L4A3」や、試作開発用のブレークアウト・ボード「SATEL-VL53L4ED」も提供されています。
VL53L4ファミリのセンサは、すべてピン互換性があり、LGAパッケージ(4.4 x 2.4 x 1mm)で提供されます。VL53L4EDは現在量産中で、単価は4500個購入時に約2.3ドルです。
詳細については、STマイクロエレクトロニクスのウェブサイトをご覧ください。
VL53L4EDの主な特徴
幅広い動作温度範囲:-40°C~105°C
最大測距範囲:1150mm
最短測距範囲:1mm
最大周波数:100Hz
強力な周辺光抑制機能
低消費電力
STM32Cube開発エコシステムとの互換性
VL53L4EDの用途
産業機器
FA機器
ロボットの誘導システム
屋外照明の制御
セキュリティシステム
液面モニタリング
その他、近接検知や測距が必要なアプリケーション
STマイクロエレクトロニクスは、VL53L4EDの発表により、産業機器やFA機器などの分野におけるセンシング技術の進化に貢献していきます。