大阪・関西万博の全面キャッシュレス決済運用
2025年に開催される大阪・関西万博では、全ての決済をキャッシュレスで行う取組が進行中です。特に、株式会社三井住友フィナンシャルグループ(以下「SMBCグループ」)の関連会社である三井住友銀行や三井住友カードが推進するキャッシュレス運営は注目を集めています。彼らは、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と共に「全面的キャッシュレス決済運用の効果検証報告書」を作成し、その成果を公表しました。
キャッシュレス決済による利便性の向上
この報告書には、キャッシュレス決済の実施による利便性の向上や店舗の業務効率化に関する分析結果が含まれています。具体的には、来場者の93%が「現金よりも効率的で便利」と評価し、出店者は現金を扱わないことで取引のスピードが通常の約2倍に向上したと報告しています。これは、顧客と事業者の双方向に利益をもたらすキャッシュレス決済の恩恵を示す重要な成果です。
SMBCグループの取組み内容
SMBCグループは、万博の運営を支えるために以下のような取り組みを行っています:
1.
決済端末の提供
会場内に1,350台のオールインワン決済端末「stera terminal」と「stera mobile」を設置し、73種類の決済手段に対応しています。
2.
デジタルチケットサイトの決済機能
大阪・関西万博の公式チケットサイトにおける決済機能を提供しました。
3.
オリジナル電子マネーの開発
大阪・関西万博独自の電子マネー「ミャクペ!」を導入し、来場者がスムーズに決済できる環境を整えました。
4.
特典プログラムの実施
「ミャクミャク リワードプログラム」の運営プラットフォームを提供し、来場者にお得な体験を提供しています。
5.
ATMの設置
会場内にATMを2台設置し、緊急時の現金需要にも対応できるようにしています。
効果検証とアンケート結果
この報告書には、来場者および出店者へのアンケート結果も含まれています。約9割の来場者がキャッシュレス決済の利便性を評価し、出店者からは現金を扱わないことで店舗業務の効率が大幅に改善されたという回答が多く寄せられました。具体的には、現金管理や報告業務の時間が、通常の店舗の1/10以下に削減されました。
このデータは、特定の個人が識別されない形式で収集されており、個人情報保護に関連する法律を遵守していました。これにより、信頼性の高い分析結果が求められました。
今後の展望
SMBCグループは、2023年度から始まる中期経営計画「Plan for Fulfilled Growth」で「社会的価値の創造」を新たな経営の柱として掲げています。この取組を通じて、収集した知見をキャッシュレス決済の更なる普及に役立てることが期待されています。日本国内および国際的なキャッシュレス決済の推進を目指して、この挑戦は続くでしょう。
大阪・関西万博の全面的キャッシュレス決済運営が、今後のビジネスシーンや日常生活にどのような影響を及ぼすのか、要注目です。これからの動向に期待が寄せられます。