Quick Factoryの革新
近年、製造業における効率化と自動化が求められています。そこで注目を集めているのが、KiQ Robotics株式会社が開発した「Quick Factory」。このシステムは、たった二枚の写真を使うだけでロボットに作業指示を出すことを可能にします。箱詰め作業を例にとると、作業前と作業後の写真をロボットに搭載されたカメラに見せるだけで、その間に必要な動作が自動でプログラムされるのです。
画期的な特徴
従来、ロボットを生産現場で活用するためには、専門のエンジニアによるプログラミングと現場での細やかな調整が必要でした。しかし、Quick Factoryでは、写真の登録だけでプログラミングが完了します。これにより、準備に通常3日以上かかっていたプロセスが、わずか15分で済むのです。直感的に使えるアプリが付属し、誰でもすぐに導入できます。加えて、ハンド・ビジョン・エンジン・アプリが一体化しており、この一つのシステムでロボット導入を開始できます。
様々な利用シーン
Quick Factoryは様々な場面での活用が期待されています。例えば、忙しい作業現場においては、ロボットの配置換えがスムーズに行えます。また、夜間に異なる場所での使用も容易に対応できます。これにより、製造プロセスの流動性が高まり、効率的な運用が可能です。
システムの技術的基盤
Quick Factoryは、以下の4つの要素で構成されています。
- - Hand(ハンド): 人の手のようにさまざまな対象を把持可能
- - Vision(ビジョン): 作業空間や対象物を的確に認識
- - Engine(エンジン): システム全体を統合的に制御
- - App(アプリ): 直感的に作業を登録できる
このシステムは、ロボットアームの種類を問わず、柔軟に対応できるのも魅力的です。
製造業向けパッケージの提供開始
現在、Quick Factoryは製造業向けのパッケージシステムを提供しています。提供を開始した第一弾製品は、ロボットセンター小倉(有限会社ICS SAKABE・福岡県北九州市小倉北区)と共同開発され、価格は500万円からとなっています。初年度には20台の販売を目指しているとのことです。
KiQ Roboticsの理念
「誰でも簡単に使える産業用ロボットを世界に」を掲げるKiQ Robotics株式会社は、2019年4月に設立されました。代表取締役の滝本隆氏は北九州工業高等専門学校の特命教授で、取締役COOの西田健氏も九州工業大学の特任教授です。彼らは、産業用ロボットの民主化を目指し、人々を単純作業から解放して、より創造的な仕事に取り組む環境を提供することに取り組んでいます。
Quick Factoryの導入により、製造現場は大きく変わることでしょう。その利便性と可能性に期待が高まります。