「ニューロダイバーシティマネジメント研究会」の設立
株式会社日本総合研究所やSCSK株式会社、またセブン銀行やTIS株式会社など、複数の企業が参加する「ニューロダイバーシティマネジメント研究会」がこのたび設立されました。この研究会は、発達障がいを持つ人々の能力を引き出し、高度かつ先端的なIT領域での活躍の場を広げることを目的としています。
発達障がいの現状
発達障がいは、全人口の約10%に存在するとされ、多様な特性を有します。発達障がいを持つ人々は、コミュニケーションや環境適応に課題を抱えることが多い一方で、論理的思考や洞察力、変化に対応する力といった強みも持ち合わせています。こうした特性を「ニューロダイバーシティ」として捉え、相互に尊重しあいながら活躍できる機会を提供することが、近年の注目点となっています。
海外では、特に金融機関やIT企業において、発達障がいのある人々を積極的に雇用する動きが見られます。しかしながら、日本における発達障がいのある人の就職率は、大学卒業者全体に比べて30ポイントも低いという厳しい現実があります。厚生労働省の調査では、雇用が進まない理由として「当該障害者に適した業務がない」との回答が8割以上を占めており、発達障がいの方々が活躍できる土壌がまだ整っていないのが実情です。
研究会の活動内容
この「ニューロダイバーシティマネジメント研究会」では、以下の2つの活動を中心に取り組んでいきます。
1. 業務特定とマネジメント手法の検討
参加企業の実務を活用し、発達障がいを持つ人々が能力を最大限に発揮できる業務を特定します。具体的には、発達特性を考慮した新たな業務プロセスやコミュニケーションの方法を検討し、必要な職場環境や体制を整備するための課題を整理します。さらに、IT業界で活躍している発達障がいのある人々の実情を踏まえた実務コンサルテーションも行います。
2. インターンシッププログラムの設計
発達障がいのある人々が実務環境での経験を積むためのインターンシッププログラムの設計を進めます。これにより、適切な業務を抽出し、必要な人材要件やプログラム運営体制を具体化します。目指すは、2025年度以降に試行・検証を行うことです。
この取り組みを通じて、発達障がいのある人々が高度で先端的なIT領域で広く採用され、働き続けられる社会を実現することが期待されています。将来的には、活躍できる業務や産業分野、キャリアパスの選択肢を広げ、それぞれの能力を最大限に発揮できる環境を整えていく予定です。
参加企業
本研究会には、以下の企業が参加しています:
- - 株式会社日本総合研究所(主催)
- - アイディルートコンサルティング株式会社
- - SCSK株式会社
- - 株式会社セブン銀行
- - TIS株式会社
- - 株式会社電通総研
- - 三井住友信託銀行株式会社
- - 株式会社三井住友フィナンシャルグループ
発達障がいを持つ人々の能力を活かし、社会全体に貢献するための効果的な取り組みが進むことを期待したいです。これにより、誰もが自分の特性を生かして働ける豊かな社会の実現が近づくことでしょう。