ロームとインフィニオンの協業
ローム株式会社とインフィニオンテクノロジーズは、SiCパワーデバイスのパッケージに関する新たな協力関係を築くことに合意しました。この取り組みは、様々な分野におけるシリコンカーバイド(SiC)パワーデバイスの導入を促進することを目指しています。自動車や再生可能エネルギー、AIデータセンターなどでの応用が期待されており、両社が供給するセカンドソース体制が構築されることで、ユーザーは製品選択においてより多くの選択肢を得られるようになります。
協業の目的
今回の協業は、特に「車載充電器」「太陽光発電システム」「エネルギー貯蔵技術」などでの引き合いが多いSiCパワーデバイスのパッケージについて、両社が協力して互換性のある製品を提供できるようにするためのものです。これにより、顧客は異なるメーカーの製品を容易に併用し、また必要に応じて切り替えることができるようになります。これに関して、インフィニオンのピーター・バーウァーは「協業を通じてSiCパワーデバイスの普及を進められることを嬉しく思います」と述べています。
パッケージ共通化のメリット
新しい協業の一環として、ロームはインフィニオンのSiC向け冷却プラットフォームを採用します。このプラットフォームでは、全パッケージの高さが統一され、設計や冷却システムのコスト削減、基板スペースの有効活用が実現されます。さらに、エネルギー密度が最大で2倍も向上し、結果として高出力アプリケーションの性能を引き上げることが期待されます。
同時に、インフィニオンはロームのハーフブリッジ構成「DOT-247」を採用し、互換性のあるパッケージを開発します。DOT-247は従来のディスクリートパッケージに比べ、熱抵抗を約15%、インダクタンスを50%削減することができ、電力密度の向上に寄与します。
今後の展望
ロームとインフィニオンは、SiCやガリウムナイトライド(GaN)を含む様々なパッケージに関する協力をさらに拡大する計画です。これにより、両社の関係はますます強固なものとなり、ユーザーに対して豊富なソリューションを提供することができるようになります。
SiCパワーデバイスの導入は、電力効率を高め、複雑なシステムでも高い信頼性を持たせることが可能になります。これらの技術を活用することで、様々なアプリケーションにおいてエネルギー効率の良いソリューションを開発することが可能になるでしょう。
企業プロフィール
ローム株式会社
1958年に設立されたロームは、半導体および電子部品を提供するメーカーです。自動車、産業機械、通信といった多岐にわたる分野で高品質な製品を展開し、特にシステム最適化を重視しています。
インフィニオンテクノロジーズ
インフィニオンは、パワーシステムとIoTの半導体分野におけるリーダーであり、脱炭素化とデジタル化を推進しています。約58,060人の従業員を抱え、2024年度の売上高は約150億ユーロを見込んでいます。
このように、ロームとインフィニオンの協業は、今後のパワーエレクトロニクス業界の発展に大きく貢献することが期待されます。既存の技術の枠を超え、より効率的なシステム構築が可能になることで、持続可能な未来が見えてくることでしょう。