上皇后陛下、89歳の誕生日を迎える。仙洞御所での穏やかな日々、そして地域貢献への熱い思い

上皇后陛下、89歳の誕生日を迎える。仙洞御所での穏やかな日々、そして地域貢献への熱い思い



今年、89歳のお誕生日を迎える上皇后陛下。昨年4月に仙洞仮御所から赤坂の仙洞御所にお移りになり、1年半が過ぎました。仙洞御所では、庭を訪れる虫の声に耳を澄まされ、季節の草花を楽しまれながら、上皇陛下と穏やかな日々をお過ごしです。

新型コロナウイルスの影響で、長らく外出を控えていらっしゃいましたが、近年は少しずつお出ましの機会が増えてきました。今年5月には、4年ぶりに上皇陛下と共に京都と奈良をご訪問。尼門跡寺院や文化財の修復事業を長年支援されてきた上皇后陛下は、それぞれの寺院から事業完了のお知らせを受け、喜びとともに、古都の風景を懐かしんでおられました。

都内では、沖縄復帰50周年記念企画展や琉球舞踊の特別公演など、歴史と文化に触れる機会を大切にされています。また、平和祈念展示資料館では、シベリア抑留者と家族との間で交わされた葉書を紹介する企画展をご覧になり、戦争の記憶を語り継ぐことの重要性を改めて認識されました。

長い間、日本国際児童図書評議会(JBBY)の活動を支援されてきた上皇后陛下は、8月には「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」をお訪ねになりました。児童文学を通してご親交の深かった故・松岡享子さん、故・松居直さんのお別れの会には、開会前に会場をお訪ねになり、お二人の遺品に目を通されました。

9月には、上皇陛下と共に「関東大震災100年 首都東京の復興ものがたり」特別展をご覧になりました。帰路、日比谷公園内のエルピディオ・キリノ・フィリピン共和国元大統領の顕彰碑にお立ち寄りになりました。キリノ元大統領は、戦後の厳しい対日感情の中で、日本の戦犯全員を恩赦により釈放し、日比友好の礎を築いた人物です。両陛下は、平成28年のフィリピン国御訪問の際に、キリノ元大統領の孫にあたる人々と特別にお会いになっており、上皇后陛下は、ご帰国後に「許し得ぬを 許せし人の名と共に モンテンルパを心に刻む」と御歌に詠まれています。

夏のご静養は、近年は控えられていましたが、今年は那須御用邸と長野県軽井沢の大日向に行かれました。那須御用邸では、地元の農家の方々と再会し、昔を懐かしんでおられました。大日向では、満州から引揚げこの地を開拓した人々への思いを詠まれた昭和天皇の御製碑をお訪ねになり、満蒙開拓の歴史と人々の苦難に思いを馳せられました。

ご体調については、昨年12月後半には、発熱、咳、喉の痛みを伴う風邪を患い、年末までご静養されました。その後は回復されましたが、午後に少し熱が上がる症状は3年以上続いており、心不全の診断指標であるBNP値も正常を超える数値が続いています。昨年8月に診断された右膝下の深部静脈血栓症は、運動や水分摂取により現在は落ち着いています。

日々のご生活は、大きな変わりはありません。沖縄県慰霊の日、広島・長崎原爆の日、終戦記念日、そして阪神淡路大震災及び東日本大震災の発生日には、上皇陛下とご一緒に黙祷され、慎みのうちに過ごされます。毎日の規則正しいご生活の中で、上皇陛下との朝夕のご散策、ご朝食後の本の音読は、今も続けられています。

上皇后陛下は、いつも上皇陛下のことを第一にお考えになって細やかにお支えになっていらっしゃいます。ご体力の低下が進む昨今は、上皇陛下がしばしば「大丈夫?」とお声を掛けられ、上皇后さまのご体調を案じていらっしゃいます。

今年は、4年ぶりにやや人数を増やして、周囲からお会いを望む声に応え、簡素な形で誕生日行事を執り行う予定です。

上皇后陛下の89歳、穏やかな日々の中に光る強い意志



この記事を読んでいると、上皇后陛下の年齢を感じさせない、力強さと優しさに溢れる生き様を感じます。仙洞御所での穏やかな日々、そして地域貢献への熱い思い、そしてご自身の体調を気遣う上皇陛下の愛情、そのすべてが、上皇后陛下の89年の人生を彩る美しい物語のように感じられます。

特に印象的だったのは、尼門跡寺院や文化財の修復事業への長年の支援、そして、シベリア抑留者と家族との間で交わされた葉書を紹介する企画展への関心です。これらの活動を通して、上皇后陛下が、歴史や文化、そして人々の苦難に深い関心を持ち続けていることが伝わってきます。

また、ご自身の体調の変化について、淡々と説明されている部分も印象的でした。高齢による体の変化を認めながらも、毎日の規則正しい生活を続け、上皇陛下との時間を大切にされている姿は、まさに「生きることへの強い意志」を感じさせます。

上皇后陛下の生き方は、私たちに多くのことを教えてくれます。年齢を重ねても、周りの人への思いやりを持ち続け、自分の人生を前向きに生きていくことの大切さ。そして、どんな困難にも立ち向かう強い意志を持つことの大切さ。

上皇后陛下の89歳のお誕生日を心よりお祝い申し上げます。そして、これからも健やかに、穏やかな日々をお過ごしになることを願っています。

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