ヤマハが液体急速凍結機を導入し効率化を図る
ヤマハ株式会社が液体急速凍結技術を持つ株式会社ゼロカラから、金管楽器製造に特化した冷却機「ZERO-PF-Y」を導入しました。この取り組みにより、年間約600万円のコスト削減とともに凍結速度が約1.5倍に向上し、品質と生産性の両立が実現されました。
背景:新しい冷却方式の模索
1887年に創業したヤマハは、ユーフォニアムやホルン、チューバなどの金管楽器の製造において、金属管内に水を封入し凍結させる「氷曲げ」技術を採用してきました。しかし、従来のフッ素系溶剤を使用した冷却方式は、コスト高騰や環境への影響が懸念され、新しい技術の導入が必要とされていました。特に、冷媒のコスト上昇や蒸発損失が利益を圧迫しており、「高コスト・高リスク構造」との課題が浮き彫りになっていました。これを受けてヤマハは、安全で持続可能な冷却技術の探求に乗り出したのです。
選定理由:安全性と効率性の両立
導入した液体急速凍結機「ZERO-PF-Y」は、エタノールを冷媒として使用できる点が特徴です。この機器は消防法に準拠した設計が施されており、冷媒濃度を60wt%未満に制御しつつ、水位を自動で管理する機能を備えています。これにより、安全に運用できる環境が整いました。ヤマハの管弦打デジタル生産部の犬塚氏は、「他社ではエタノールに対応できないと断られた中、ゼロカラだけが具体的な提案をしてくれました」と述べ、導入の決め手は濃度調整機能と水位管理機構であったことを明かしています。
導入効果:年間600万円のコスト削減
「ZERO-PF-Y」導入後、冷却速度は約60分から約40分へと短縮され、氷の結晶がより均一に形成されるようになったことで、生産工程全体のボトルネックが解消されました。冷媒の補充頻度も減少し、メンテナンス工数や作業負荷の軽減も実感されています。犬塚氏によれば、「凍結速度が向上し、氷の品質も安定しています。コスト面での改善は想定以上で、導入して本当に良かったです」と語っています。
今後の展望:グローバルな生産体制の強化
ヤマハは今後、凍結条件をさらに最適化し、工程内フィードバックシステムの構築を進めていく計画です。国内の複数ラインへの追加導入(2号機から4号機)に加えて、海外拠点への導入も視野に入れています。犬塚氏は、「現在、稼働は非常に順調です。複数ラインの運用により装置の稼働率の平準化とランニングコスト削減を目指していきたい」と述べています。
ゼロカラについて
ゼロカラは、圧倒的な凍結スピードを誇る超高速凍結機を通じて顧客の課題解決に取り組んでいます。持ち込みや郵送での凍結テスト及び試食提供も行っており、助成金取得やリースによる柔軟な対応が可能です。