鉄道の未来を語る「カーボンニュートラル運行」
阪急電鉄株式会社と阪神電気鉄道株式会社は、2030年に向けた脱炭素社会の実現を目指し、「カーボンニュートラル運行」を2025年4月1日から始めることを発表しました。この取り組みでは、全ての運行する鉄道用電力を再生可能エネルギーから調達し、結果的にCO2排出量を実質ゼロにするとしています。
新たな取り組みとラッピング列車の運行
この運行開始にあわせて、両社は特別なラッピング列車を運行することも決定しました。この列車は、カーボンニュートラルに関する重要な要素である「光」「空気」「木」を擬人化し、環境に配慮した社会作りへの取り組みを周知させるデザインが施されています。これにより、乗客の皆様には再生可能エネルギーへの関心を高め、鉄道が環境に優しい移動手段であることを実感してもらう狙いがあります。
ラッピング列車の詳細
運行期間
2025年4月1日から2027年3月31日までの予定で、阪急電車と阪神電車それぞれに異なる編成で運行されます。
編成内容
- - 阪急電車:神戸線・宝塚線に1000系、京都線に1300系、各1編成(8両編成)
- - 阪神電車:9000系 1編成(6両編成)
運行区間
- - 阪急電車:神戸本線、神戸高速線、今津北線、宝塚本線、京都本線、千里線など、さらに能勢電鉄線やOsaka Metro堺筋線にも乗り入れます。
- - 阪神電車:本線、阪神なんば線、神戸高速線に加え、山陽電鉄線や近鉄奈良線にも乗り入れます。
デザインコンセプトと広報活動
ラッピング列車のデザインは、大阪府出身のイラストレーター、ウマカケバクミコ氏に依頼されました。彼女は「阪急阪神 未来のゆめ・まちプロジェクト」のシンボルマークも手がけており、環境保護の意識を高めるための力強いメッセージを込めた作品に仕上がっています。
ポスターや広告
車両内やドア横のステッカーでは、カーボンニュートラル運行を強調し、「電車はエコな移動手段」として鉄道利用を促進します。また、車内の広告スペースでは、各社の環境保全に関連する取り組みや、環境省が進める「デコ活」という脱炭素社会に向けた運動が紹介されます。
PR動画の放映
運行開始に伴い、車両内のディスプレイや駅のデジタルサイネージでPR動画も放映されます。アニメ「夏目友人帳」シリーズの夏目貴志や「進撃の巨人」シリーズのリヴァイ、さらに「ONE PIECE」のトラファルガー・ローなど、人気キャラクターの声を担当する声優・神谷浩史氏のナレーションでしっかりとメッセージが届けられる予定です。
鉄道の環境優位性の理解促進
一般社団法人日本民営鉄道協会とJR各社も共同で鉄道の低炭素輸送の利点を周知させる取り組みを進めています。鉄道は自動車に比べて輸送エネルギーの消費が約10分の1であり、この事実を広く認識してもらうためのキャンペーンも実施されています。
まとめ
阪急・阪神の「カーボンニュートラル運行」の始まりは、環境に配慮した未来へ向けた重要な一歩です。鉄道を利用することで、持続可能な社会への意識を高めるだけでなく、実際にその実現に向けての行動を促すことが期待されています。運行開始までの準備が進む中、私たち一人一人が環境問題について考えるきっかけとなることを願っています。