商船三井、HIF Global社への出資で合成燃料の実用化を加速
商船三井株式会社(以下、「当社」)は、この度、再生可能エネルギーを基盤にした合成燃料の開発を進める米国のHIF Global社(以下「HIF Global社」)に出資することを決定しました。この出資は、当社の100%出資の子会社、MOL Clean Energy, US, LLCを通じて実施されます。
HIF Global社は、グリーン水素とCO2を原料とした合成燃料(e-fuel)及び合成メタノール(e-methanol)の生産を北米、南米、豪州で展開しており、年間400万トンの生産を計画しています。さらに、将来的には合成航空燃料(SAF)や合成ガソリン、合成化学品の製造も視野に入れているとのことです。
合成燃料(e-fuel)および合成メタノール(e-methanol)は、製造から利用に至るまでのライフサイクル全体で低炭素化に寄与すると期待されており、海運業界の脱炭素化に向けた重要な燃料として注目を集めています。特に、合成メタノールは船舶燃料としての可能性を秘めており、環境に配慮したエネルギーソリューションとして重要な役割を果たすと見込まれています。
また、当社は2024年3月に、出光興産株式会社やHIF Global社の子会社であるHIF USA LLC、HIF Asia Pacific Pty Limitedと共同で、CO2の海上輸送を含む合成燃料及び合成メタノールのサプライチェーン開発に関する覚書(MOU)を締結することも発表しています。この覚書は、合成燃料及びメタノール、さらにCO2のサプライチェーンの構築を促進し、エネルギーおよび輸送業界の脱炭素化を推進することを目的としています。
HIF Global社の概要
HIF Global社はリーダブルな低コスト再生可能エネルギーを基盤にし、水素をカーボンニュートラルな液体燃料に転換するプロジェクトを推進しています。その理念として、HIFとは「Highly Innovative Fuels」を指し、全国各地で事業を展開しています。実際、2022年12月にはチリのマガジャネス州で最初の合成燃料を生産することに成功し、今後は米国のテキサス州、ウルグアイ、豪州にも商業規模のプラントを設置する計画があります。
産業全体の脱炭素化に寄与
このプロジェクトの意義は、単に新しい燃料を提供するだけでなく、産業全体の脱炭素化に寄与する点です。合成燃料および合成メタノールは、持続可能なエネルギー供給の重要な一翼を担う可能性があり、商船三井はこの流れにおいて重要な役割を果たすことになるでしょう。エネルギーおよび輸送セクターの脱炭素化は世界的な課題であり、当社の参画により、より持続可能な未来へと向かうことが期待されています。
商船三井の出資により、合成燃料の実用化が進む中、今後の動向にも注目が集まります。