TOPPANデジタルが提供する次世代選果技術
最近、食品業界では生産者の顔が見える安全で高品質な商品のニーズが高まっています。こうした消費者の要求を受け、TOPPANデジタル株式会社が新たに開発した「りんご向けコンパクト選果機」が注目を集めています。この選果機は、りんごの蜜入りや内部褐変、糖度を判定することができるという特徴を持ち、農家の作業負担を軽減し、選果の精度を大幅に向上させる支援をします。
開発の背景と目的
近年、消費者は安全で健康的な食品を求め、さらには生産者の姿が見える製品への関心が高まっています。また、物流の発展やインターネットの普及により、農産物の直接取引が増加しています。しかし、内部の品質を目視で確認することは特に経験の少ない農家にとって難易度が高く、これが消費者からの苦情に繋がることもあります。これを受けて、TOPPANデジタルは長野県飯綱町に開設したDX推進拠点「ICT KŌBŌ® IIZUNA」で実用的な選果機の開発に取り組みました。
選果機の特徴
この選果機は、ハロゲンランプと分光センサーを使用して、りんごの蜜の有無や糖度、内部褐変を判定します。一般的な選果機は大型で高価なものが多く、中小規模の農家にとっては導入が難しかったのですが、この選果機はコンパクトかつ低価格であるため、幅広い農家に普及が期待されています。スマートフォンとBluetoothで接続することで、選果結果をリアルタイムで確認することができ、農家はスマホ上で選果状況を可視化できます。
実証実験の結果
2024年12月から2025年1月にかけて、長野県飯綱町の4つの中小規模農家を対象にこの選果機の実証実験が行われました。例えば、就農歴が短い農家が装置を使用することによって、目視では判断しづらい品質を正確に把握できることへの高い関心が示されました。実際の評価では、操作がシンプルで扱いやすいとの意見が多数寄せられ、蜜入り判定の86%、内部褐変の90%という精度が確認されました。
未来への展望
TOPPANデジタルは、この実証実験のフィードバックを受けて、選果機のさらなる改良を行い、2026年の下半期頃を目指して本製品の市場投入を計画しています。また、全国の農業におけるDX化や労働力不足の解消に寄与することを目指し、引き続き地域課題の解決に貢献していく所存です。
ICT KŌBŌ IIZUNAの役割
「ICT KŌBŌ IIZUNA」は、地域課題を解決するための実証実験や人材育成などを行う拠点として機能しており、今後も地域の農家との連携を強化しながら、さまざまな取り組みを行っていく予定です。これにより、持続可能な農業の未来を切り開く一助となることでしょう。
このように、TOPPANデジタルの新しい選果機は、農業のデジタルトランスフォーメーションを象徴する商品であり、未来に向けた取り組みが期待されています。