自動化による業務効率化が進む船内管理
株式会社スマリテが、2024年12月から2025年9月までの期間中、日本郵船と共同で、自社開発の「スマート販売機」を搭載した原油タンカーにおける業務の自動化を目指すトライアルを実施します。この取り組みは、従来手作業で行っていた船内のアルコール管理業務をデジタル化し、効率化を図ることが目的です。
トライアルの背景
外航海運の船員は交代制で勤務し、勤務時間内・外におけるアルコール摂取には厳しい制約があります。日本郵船は、この問題に対処するため、アルコール摂取量を厳格に管理するD&Aポリシーを定めています。しかし、これまでの手法では、担当者が希望者の確認や飲料の配布、消費記録の手作業による入力に長時間を費やしていました。人工的な管理作業が生じる中、業務の効率化は喫緊の課題となっていました。
トライアルの詳細
この試験運用に用いるのは、日本郵船が運航する原油タンカー「TOWA MARU」です。使用するシステムは、スマリテが設計した「スマート販売機」および「クラウド管理システム」で、重量センサーやAIカメラを使ったアルコール配布の管理が行われます。キャッシュレス決済にも対応しており、現金管理のリスクを排除する設計です。
効率化の具体例
トライアルを通じて、業務時間の約87%削減が見込まれています。具体的には、月に約7.5時間の作業が約1時間に短縮され、帳票整理も半減するとされています。これにより、ヒューマンエラーが抑制され、業務の透明性も向上します。また、遠隔からのデータ確認が可能となり、現場の負担軽減が期待されています。
フィードバック
実際にトライアル船の乗員からのフィードバックでは、アルコール管理にかける時間が大幅に減少し、より多くの時間を学習や休養に振り向けることができるようになったという声が聞かれました。このことは、乗員のモチベーション向上にも寄与しているようです。
今後の展開
日本郵船は、このトライアルの成功を受けて、他のVLCC船への追加導入を検討しています。また、さらなる展開として、貨物船やLNG船など他の船舶種類への導入、陸上の管理システムとのデータ連携も視野に入れています。これにより、海上業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を一層推進していく方針です。
株式会社スマリテのコメント
トライアルに関わった株式会社スマリテの事業統括マネージャー、福山英世氏は「私たちのIoT技術を海上の環境に適用する挑戦に成功できたことを誇りに思います。今後も現場のニーズに応じたシステム最適化を進めていきます。」と述べています。
おわりに
この革新的な取り組みは、船上での業務効率を飛躍的に向上させるだけでなく、乗員の働き方にも大きな影響を与える可能性を秘めています。日本郵船とスマリテが共に描く、未来の海上業務の姿に期待が高まります。