NordVPNが提起する日本におけるサイバーリスクの真実
2025年10月7日、個人向けセキュリティサービスを展開するNordVPNは都内でメディア向けのラウンドテーブルを開催しました。このイベントには、同社のCTOであるマリユス・ブリエディスと日本代表の小原拓郎が登壇し、日本市場における最新のサイバーセキュリティに関する調査結果が発表されました。
この調査は、日本のビジネスパーソン1,000名を対象に行われたもので、意外にも多くの人々が自らのセキュリティに対して過信していることが判明しました。実際、約半数の回答者(47%)が無意識的にリスクの高い行動を取っており、特に自身のセキュリティに自信を持つ人ほど危険な行動をしていることが確認されています。
NordVPNの革新技術とビジョン
本イベントは、Nord Securityのビジョン「誰もが自由で安全なインターネットを利用できる環境を実現したい」というメッセージから始まりました。NordVPNは、単なるVPNサービスを超え、サイバーセキュリティの総合的なアプリケーションへと進化を遂げています。通信の暗号化や厳格なノーログポリシーに加え、マリユスは自身の技術を紹介し、最新の「脅威対策Pro™」機能を用い、マルウェアやフィッシングサイトを未然に防ぐ技術を強調しました。
さらに、今後の量子コンピュータによる解読リスクに備えた「耐量子暗号化(PQC)」や、VPN通信を普通のウェブブラウジングのように見せかける「NordWhisper」プロトコルも説明され、技術的な信頼性の重要性が浮き彫りになりました。
調査結果から見えた日本特有の課題
調査結果に基づく日本における警告として、CTOは長時間労働の問題を指摘しました。月40時間以上の残業をする人は公共Wi-Fiを使用する頻度が平均の2.3倍に達し、忙しい業務に追われる中で、セキュリティ対策が疎かになる実態が見えてきました。
また、自宅のWi-Fiルーターに対する対策が不十分な人が6割以上にも及び、23%は初期設定のままIDやパスワードを使用していることが明らかになりました。それに対してマリユスは、ルーターのハッキングが危険であることを強調し、OSやアプリ同様にアップデートする必要があると警鐘を鳴らしました。
そしてダークウェブの観測データでは、日本から流出したクッキー情報が2億5,000万点以上に上ることが報告され、その中には攻撃に悪用される可能性が高いものも含まれているため、対策が不可欠です。
質疑応答での深い議論
質疑応答のセッションでは、日本特有のセキュリティリスクについてマリユスが解説しました。HTTPS通信の普及に伴い、公共Wi-Fiが安全だと思われがちですが、一部の通信が暗号化されても、他のアプリケーションの通信は保護されていないことを指摘しました。カフェや空港での中間者攻撃に対しては、VPNを活用した全体の暗号化が重要だと強調される場面がありました。
企業におけるデータ損失防止(DLP)が重要で、社員が業務データを私的なクラウドサービスや生成AIに持ち出すリスクについても、継続的な教育が必要であると述べられました。また、投資詐欺やロマンス詐欺に対しても、プレミアム機能が未然に防げる可能性に言及されました。
まとめと呼びかけ
マリユスは、サイバーセキュリティの重要性について、「日々の小さな行動が全体の安全を守ります。パスワードマネージャーの使用や、二要素認証の有効化を推奨します」と締めくくり、やはり日本のビジネスパーソンには、自覚を持った行動が求められます。今回のラウンドテーブルでの議論が、より多くの日本人が安全なネット環境を享受するための一助となることを願っています。