国立国際美術館で開催される「戦争と映像」
2026年3月15日、国立国際美術館にて第29回中之島映像劇場「戦争と映像」が開催されます。このイベントは、戦争というテーマに焦点を当て、映像を通じて私たちが抱える記憶やアイデンティティの多様な側面を探るものです。
1. 新たな戦争像の提起
本イベントでは、政治学者メアリー・カルドーの提唱による「新しい戦争」という概念を基に、異なる言語や宗教、部族の文化が交錯する中での暴力の構造について考えます。カルドーは、これらの戦争が単なる内戦や民族紛争ではなく、特定のアイデンティティを中心にした集団による協力によって市民性や多文化主義を抑圧していると分析しています。
中之島映像劇場の目的は、この戦争に関連する映像や芸術作品を通じて、記憶の蓄積とその価値を再考することにあります。戦争の記録映像はただ存在するだけでなく、視覚的に語られなかった物語を照らし出します。
2. 講演・上映プログラムの概略
イベントは二部構成で行われます。第一部では、亀井文夫の戦争ドキュメンタリーに関する講演が行われ、その後、彼の代表作である《戦ふ兵隊》が上映されます。この作品は、公開禁止を経て1975年にようやく日の目を見ました。
第二部では、現代アートを通じた戦争の解釈に焦点を当てた作品が上映されます。ハルーン・ファロッキによる《消せない火》や、ヒト・シュタイエルの《November》などが取り上げられ、個人の記憶と広がる戦争の影響を映し出します。
3. 複雑な映像の記憶
大島渚が指摘したように、戦争の終わりを伝えた当時のメディアは映像ではなく音声でした。この事実は、私たちが戦争をどう記憶し、どのように理解を深めるかに影響を与えます。映像があることで私たちは何を知り、何が知らされなかったのか。この問いかけは、現代の私たちにも重要です。
4. 来場者へのメッセージ
入場は無料ですが、各部の整理券が必要です。来場を希望される方は、10時からインフォメーションにて整理券を受け取ってください。私たちと共に、戦争と映像の深淵な関係を考える機会となりますよう、ぜひ多くの方にご参加いただきたいと思います。
このイベントは国立国際美術館と国立映画アーカイブの共催により開催され、戦争と映像の交錯する歴史を深く掘り下げていきます。皆様のご来場を心よりお待ちしております。