メルセデス・ベンツ、EtherCAT技術で車両開発を加速!高精度計測で次世代モデルを進化させる
メルセデス・ベンツは、世界トップレベルの自動車メーカーとして、常に革新的な技術を取り入れ、次世代の車両開発に取り組んでいます。その取り組みの一環として、ドイツのベッコフオートメーションのEtherCAT技術を採用し、次世代車両開発用テストベンチを刷新しました。
高精度な計測技術で、車両性能を徹底的に分析
メルセデス・ベンツは、車両の性能向上とブランドイメージの維持のため、シャシーの品質に非常に高いこだわりを持っています。ドイツ・ジンデルフィンゲンにあるメルセデス・テクノロジ・センタ(MTC)では、4台の最新テストベンチを用いて、アクスルの検査を実施しています。
テストプロセスでは、車両をジャッキに設置し、アクスルに荷重をかけることで、車両が受ける力や変位、トルクに対する反応を0.1mmの精度で計測します。この高精度な計測により、車両の特性を詳細に把握することが可能となり、開発車両の走行性能を向上させるための重要なデータが得られます。
ベッコフのEtherCAT技術がもたらす革新
従来のテストベンチでは、ダイムラー社が開発した「Hydromat」をベースとした制御システムが使用されていましたが、部品調達の困難さなど課題を抱えていました。そこで、メルセデス・ベンツは、システムインテグレータであるDynoTec Prüfstandstechnik(以下、ダイノテック)に新システムの設計・実装を委託しました。
新システムには、テストベンチのモジュール式コンセプトを維持しながらも、より効率的かつ柔軟な制御が求められました。そこで、ベッコフのEtherCAT技術が導入されました。
EtherCATは、リアルタイム性の高いデータ通信を実現する技術です。この技術により、従来のアナログ信号線をデジタル信号に置き換えることで、データロギングの精度と制御品質が大幅に向上しました。さらに、ベッコフのオープンな自動化プラットフォームを採用することで、異なるメーカーの機器との互換性を確保し、メンテナンス性の向上とシステムコストの削減も実現しました。
高精度計測ターミナルELM3xxxシリーズが活躍
システム刷新において、ベッコフのEtherCAT計測ターミナルELM3xxxシリーズが重要な役割を果たしました。ELM3xxxシリーズは、車両の振動、変位、トルクなどのデータを高精度かつ高分解能で取得することが可能です。本システムでは、最大136の計測チャンネルをそれぞれ5kspsで同期して記録し、必要に応じて10kspsまで拡張することで、合計680kspsのデータレートを実現しています。
コンパクトなモジュール構造により、柔軟で省スペースなデータロギングが実現しました。EtherCATの高速通信機能により、すべての計測データがリアルタイムで取得され、PC上でのライブモニタリングとデータベースへの即時転送が可能になりました。
未来を見据えたシステム開発
メルセデス・ベンツとダイノテックは、今後のテストベンチ開発において、ベッコフの自動化ソフトウェア機能であるTwinCAT Analytics Loggerの導入を計画しています。この機能により、複数のテストベンチでリアルタイムのデータロギングと保存が可能になり、テストデータの集中管理と迅速な分析が実現します。
ベッコフのスケーラブルな制御プラットフォームは、標準化されたシステムで様々なプロジェクトに対応できることを証明しており、今回のプロジェクトの成功は、メルセデス・ベンツの次世代車両開発を加速させる大きな一歩となります。