住友ベークライトと東北大学が共同で開発した次世代3Dパワーモジュール
住友ベークライト株式会社と国立大学法人東北大学は、共同研究の成果として小型かつ高出力密度を持つ樹脂絶縁二層構造の3D SiC-MOSFETパワーモジュールを開発しました。この革新技術は、2025年に設立される共創研究所の枠組み内で育まれたもので、次世代の電動車両やエネルギー機器に多大な影響を与える可能性を秘めています。
開発の背景
最近の電動車両(EV)市場において、性能向上や航続距離の延長が進む中、車両の軽量化と動力システムの省スペース化が求められています。特に、モータ駆動用インバータなどパワーエレクトロニクスにおいては、システム全体の高効率化と発熱の管理が不可欠です。そこで、次世代パワーモジュールの開発が急務となっているのです。
開発の詳細
住友ベークライトは、東北大学が進める高出力密度インバータ構想に独自の樹脂材料を組み合わせて、この構想の実現に向けて取り組みました。その結果、樹脂絶縁基板とエポキシ封止樹脂の熱膨張特性や弾性率の最適化を図り、モジュール反りを最小限に抑えることに成功しました。また、銀セミシンタリング接合材の導入により、冷却器との接合の信頼性を飛躍的に向上させています。これにより、インバータ出力密度は300[kVA/L]に達しました。
技術特長
1.
樹脂絶縁基板による反り抑制
従来のセラミック基板の代わりに樹脂絶縁基板を使用することで、銅との熱膨張のミスマッチを大幅に減少させ、パワーモジュールの反りを20[um]以下に抑えることができました。
2.
熱抵抗の低減と実装性向上
樹脂絶縁基板を導入することで、モジュールと冷却器間の接合材を薄塗りすることが可能となり、熱抵抗を大幅に低下。実装性も向上しました。
3.
低温・無加圧 銀セミシンタリング接合材
新たに開発した接合材は、従来必要とされていた高温・高圧を不要とし、温度ストレスを低減。また、高密着性と低弾性率により、薄層でも高い耐久性を持つ接合を実現します。
この成果により、業界の基準に比べてパワーユニットの体積が約半分に減少し、車内空間の有効活用を促進します。
発表と未来のビジョン
この次世代3Dパワーモジュールは、2026年6月にドイツで開催されるPCIM Europe 2026にて発表される予定です。この展示会は、パワーエレクトロニクスとエネルギーマネジメントの最新技術が集結する国際的な場として知られています。
住友ベークライトは、今後も多様な市場ニーズに応える高機能樹脂材料の開発を推進し、高度な電動化社会の実現に貢献していく所存です。
お問い合わせ
住友ベークライト株式会社情報通信材料営業本部が詳しい情報を提供します。電話番号:03-5462-4015。