温泉微生物の力でサーモン養殖が進化
近年、サーモンの養殖業界では、魚類の健康問題が深刻化しています。その中で注目を集めているのが、SARABiO温泉微生物研究所(以下、SARABiO)の新しい取り組みです。特許取得済みの免疫活性エキス「温藻RG92」が、サーモンの斃死率の低減という課題に立ち向かっています。
RG92の驚異的な効果
SARABiOが別府温泉から発見したRG92は、高い抗炎症、抗糖化、抗酸化作用を持っています。このエキスは魚類の免疫力を高め、発育を促進しさらには病気を抑制することが実証されているのです。特に、陸上養殖におけるサーモンの健康を守るために重要な役割を果たしています。
導入試験の成果
2024年2月から12月にかけて、北九州の陸上サーモン養殖場で行われた試験では、RS92を投与した群において以下のような成果が確認されました:
1.
衝突死の減少:RG92を投与した群では、前年比で約90%以上の減少が見られました。これによりサーモンの生命を守ることができました。
2.
水温耐性の向上:投与群では温度24℃でも斃死が観察されず、水温に対する耐性が明確に向上しました。これは養殖環境の変化に強いサーモンを育てられる可能性を示しています。
3.
水質改善:RG92の投与によってバクテリアの付着が抑えられ、水質が改善されたことが確認されました。これは養殖環境のクリーンさを保つために欠かせません。
別府からの新たなプロジェクト
SARABiOは「サーモン種苗プロジェクト」を始動し、水道水を利用して発眼卵から稚魚までを育成する独自の研究を進めています。このプロジェクトでは、RG92が孵化率や成長率にどう影響を及ぼすかを科学的に検証しています。また、日本大学生物資源科学部との共同研究も進めており、RG92投与によるニジマスの免疫向上のメカニズムを解明するため血液検査や細胞試験が行われています。
まとめ
サーモン養殖における新たな挑戦は、温泉微生物の力を利用して健康的な魚を育てることにあるといえるでしょう。RG92は魚類の免疫を向上させ、斃死率を大幅に改善する可能性を秘めています。サーモン養殖の未来が明るいものであることを確信させてくれる取り組みです。今後、SARABiOの進展がどのように業界に影響を及ぼすか、引き続き目が離せません。