北山猛邦新作短編集『神の光』の魅力
近年、その幻想的な世界観と物理トリックで高い評価を受けているミステリ作家、北山猛邦。その彼の新たな短編集『神の光』が、東京創元社からリリースされました。2002年にデビュー以来、数々の賞を受賞してきた北山氏は、その作品の中でも特に物理トリックに定評があり、読者を魅了し続けています。
新作短編集の内容
『神の光』には、全5編が収められていますが、いずれも一瞬で消失することが想像できないほどの巨大な建物や場所が登場します。たとえば、砂漠の街のカジノ、巨大な屋敷、あるいは神秘的な鳥居といった場面が描かれ、それぞれに「消失」のテーマが貫かれています。
最初の一編は、タイトルと同じ『神の光』。主人公のジョージは、夢の中で高レートのカジノに忍び込み、一攫千金を狙います。運良く大金を手にしたジョージは、その後の逃避行でバイクが故障。小屋で一晩を過ごしたのち、翌朝驚愕の事実を目の当たりにします。彼が逃げ出したカジノの街が、一夜のうちに消えてしまったのです。この奇跡のような消失劇は、読者に強烈な印象を与えます。
トリックの魅力
北山氏の作品には常にトリックが存在しますが、短編集『神の光』では「消失」というテーマが全編通じて一貫しています。どのストーリーも、単なる消失ではなく、それによって生まれる謎やサスペンスが巧みに絡み合っています。読者は、一瞬で姿を消すものの奥に隠された真実を追求することになります。ミステリ作家たちからも絶賛の声が寄せられており、北山氏の独特な視点やストーリーテリングに愛着を感じる人が多いようです。
装飾と価格
新作の装画や装幀は、著名なデザイナーである柳智之氏の手によるものです。美しいビジュアルが本書の魅力を一層引き立てています。価格は税込で1,980円、286ページの焼き付け仕様になっています。初版は2025年9月26日ですので、気になる方はぜひ早めに手に取ってみてください。
作者プロフィール
北山猛邦は1979年生まれ。デビュー作『「クロック城」殺人事件』で第24回メフィスト賞を受賞しました。以来、物理トリックを巧みに使った作品を発表し続け、幻想的な物語で読者を魅了しています。過去の著作には『少年検閲官』『踊るジョーカー』など、多数の人気作品があります。
まとめ
北山猛邦の新たな短編集『神の光』は、独特の視点から現実を巡る幻想的な旅へと誘います。消失をテーマにした作品群は、まさに心を捕らえる名作となっており、新たな代表作とも言えるでしょう。本書を通じて、北山氏の世界観にどっぷりと浸ってみてはいかがでしょうか。ぜひ手に取って、その魅力を感じていただきたいです。