ヨーグルトの継続摂取が口腔の健康に与える影響とは

昨今、食生活の見直しや健康志向の高まりとともに、発酵食品への関心が高まっています。中でも、ヨーグルトはその効果が声高に叫ばれており、特に口腔内の健康に寄与するとの研究成果が発表されました。大手乳業メーカーの株式会社明治と神奈川歯科大学との共同研究では、乳酸菌 OLL1073R-1株と OLS3059株で発酵したヨーグルトが、口腔内の抗菌物質の増加に関与し、さらには健康的な口腔環境を維持する可能性を示しました。

研究の背景と目的

本研究では、主に高齢者施設で働く職員を対象に、OLL1073R-1株と OLS3059株で発酵したヨーグルトの継続的な摂取が口腔内の免疫機能に及ぼす影響を調査しました。近年、口腔の健康が全身の健康に与える影響が注目されており、特に口腔内の常在菌が様々な病気と関連していることが知られています。例えば、Fusobacterium nucleatum（F. nucleatum）は大腸がんとの関連が指摘されています。この研究の目的は、ヨーグルトの摂取が口腔内の健康にどのように寄与するかを明らかにすることです。

研究方法

研究の対象は、ヨーグルトを1年以上毎日1本（112g）摂取している40名（ヨーグルト群）と、摂取していない13名の対照群です。参加者からは唾液と舌苔を採取し、唾液中の抗菌物質の分泌速度や舌苔の細菌叢を分析しました。さらに、過去1年間の風邪症候群への罹患回数についても調査が行われました。そして、ベイジアンネットワークを用いて、データの因果関係を分析しました。

研究結果

研究の結果は明らかで、ヨーグルト群における唾液中のβ-defensin-2およびβ-defensin-3の分泌量が対照群と比べて有意に高いことが確認されました。また、舌苔に含まれるF. nucleatumの割合が有意に低く、風邪症候群への罹患回数も少ない結果となりました。この結果は、OLL1073R-1株とOLS3059株で発酵したヨーグルトの継続摂取が口腔内の抗菌物質を増加させ、呼吸器感染のリスクを低減することを示唆しています。

研究の意義

口腔は外界と直接接触し、外的な感染と密接に関わっているため、その健康は非常に重要です。本研究の結果は、ヨーグルトを摂取することで口腔内の環境が改善され、全身の健康維持に寄与する可能性を示しています。特に免疫機能の調整に寄与する可能性が示唆されているため、今後の研究が期待されます。また、乳酸菌の免疫調節作用に関する多くの研究が進められていますが、これらの成果を日常生活に取り入れることで健康管理が容易になるでしょう。

今後の展望

本研究の成果を背景に、さらなる詳細な調査が今後必要とされるでしょう。特に、如何にしてヨーグルトの抗菌機能を最大限に活かすか、そしてその効果を他の食品とどのように組み合わせるかが問われます。また、年齢や性別による影響も考慮した研究が求められることでしょう。これからの健康管理において、ヨーグルトの位置づけがますます重要になることが期待されます。