IT人材不足を解消する新たな視点:障がい者雇用の可能性とは
企業の経営環境が変化する中で、デジタルトランスフォーメーション(DX)と多様性のある職場環境(DEI)を両立させることが求められています。その中で、ITスキルを持つ障がい者の雇用が重要な鍵として注目されています。最近、サイボウズ株式会社の「ソーシャルデザインラボ」が実施した調査によって、企業の人事・採用担当者における障がい者雇用に関する意識が明らかになりました。
調査の背景と目的
2026年7月から障害者雇用促進法の改正に伴い、障がい者雇用率が2.7%に引き上げられることで、企業は新たな採用の選択肢を模索する必要があります。この調査は、IT人材不足の問題と障がい者雇用の実態を探ることを目的として実施されました。対象となったのは、企業の人事担当者から無作為に選ばれた1,000名で、IT業界と非IT業界にわかれた応募者の意識を調査しました。
驚くべき調査結果
調査の結果、企業の74%がIT・デジタル人材を不足していると感じており、77%が採用に苦労していると回答しています。この現状を受け、「ITスキルを持つ障がい者」の採用については、71.4%の企業が前向きな意向を示しました。また、障がいのある方だけでなく、働きづらさを抱える人への雇用意欲も64.5%に達しており、多様な人材の活用が企業の成長戦略の一環として認識され始めていることが伺えます。
「施設外就労」への関心と制度の壁
さらに、「施設外就労」に関する意識も高まり、62.1%の企業が前向きに捉えています。しかし、法定雇用率の算定対象外であるため、この制度の壁は依然として存在しています。もし、「施設外就労」が法定雇用率に算入されるようになれば、60.3%の企業が受け入れを検討する意向を示しました。これは障がい者にとって、雇用機会を広げる可能性を示唆しています。
業務委託の可能性
調査結果からは、業務委託に対する関心も高まっています。約90%の企業が、障がい者を支援する団体へのIT業務委託に興味を示し、新たな採用の選択肢としての可能性が浮かび上がっています。制度的な後押しがあれば、更なる広がりを見せると期待されています。しかし、企業が抱える「実務上の不安」が課題として浮き彫りになっており、特に業務指示の方法や職場環境の整備、業務の切り出し・マッチングに関する具体的なノウハウ不足が影を落としています。
変革の過程における重要な転換点
障がい者雇用は、これまで「法定雇用率の達成」が主目的でしたが、現在は「人材確保戦略」としての重要性が増しています。この背景には、プログラミングスキルから論理的思考力へのシフトがあり、専門知識がない人でもITツールを使いこなせるようになってきたことがあります。サイボウズのような企業が進める無コード・ローコードツールの普及は、障がいを持つ方にも新たな可能性を提供しています。
まとめと今後の展望
サイボウズの「ソーシャルデザインラボ」は、障がい者や多様な人材に対してITスキルを提供し、企業に新たな価値をもたらすことを目指しています。調査結果をもとに、企業が「仕事を与える」のではなく、当事者と共に価値を創造する協働モデルを構築することが求められています。この変革が、企業の成長にどのように寄与するのか、今後の動向に注目が集まっています。