丸太を活用した軟弱地盤対策法がグッドデザイン受賞

地中に森をつくる革新工法を受賞

2025年度のグッドデザイン賞において、飛島建設株式会社、住友林業株式会社、ミサワホーム株式会社の3社が共同開発した「丸太打設軟弱地盤対策＆カーボンストック工法」が見事に受賞し、その中でも特に優れたデザインとして「グッドデザイン・ベスト100」に選ばれました。この受賞は、工法自体の革新性と、持続可能な未来への貢献が高く評価された結果といえます。

背景にある技術と理念

日本では、古くから木材が建物の支持材として用いられてきましたが、特にこの工法は「地中に森をつくる」という新しい発想に基づいています。丸太を軟弱地盤に圧入し、地中に炭素を貯蔵。これにより、気候変動への対応と森林資源の循環利用を同時に実現しているのです。

この工法では、丸太が地下水位より深く設置され、腐朽や蟻害の影響を防ぎます。また、特殊な粘土を使用して丸太頭部を保護するため、安定した基礎を形成することができます。これらの技術により、住宅やその他の建物の補強が可能になります。

国産材の有効活用

使用する木材は、間伐材などの小径木であり、加工がほとんど不要です。これにより、木材を有効に活用しながら国産材の計画的な伐採と再造林を推進することができ、森林資源の循環が実現されます。実際、2014年から3社が共同で取り組み始め、2020年にはこの工法に対して日本建築センターでの評定を取得しました。

グッドデザイン賞の意義

グッドデザイン賞は1957年に創設され、デザインの力を通じて社会の課題を解決することを目指しています。この賞は、品質の高いデザインだけでなく、持続可能性や社会貢献にもしっかり目を向けた選定基準を持っています。受賞作には、デザインだけでなく、社会的な意義や革新性が強く求められます。

今後の展望

この新たな工法を用いることで、住宅にとどまらず、集合住宅や商業施設など多岐にわたる建築物への適用が期待されています。飛島グループや住友林業グループは、2050年カーボンニュートラルの目標に向け、地域資源を活用した持続可能な建設を実現するために、ずっと努力を続けていく方針です。

さらに、ミサワホームは、高断熱・高耐久な住まい作りを追求し、環境負荷の軽減を図っています。国産材の利用促進や木材の価値を最大限に引き出すことを重要視し、さまざまな建築分野に展開を図っています。