急増する警備業の倒産、改善が求められる働きやすさ

警備業の倒産が深刻化

株式会社帝国データバンクが発表した調査結果によると、2025年上半期(1-6月)における警備業の倒産件数は前年同期から倍増し、過去最多の16件に達しました。このペースが続けば、2025年の年間倒産件数は過去最高を更新する可能性が高まります。

人手不足が倒産を引き起こす背景

警備業は人々の安全を守る重要な業界ですが、慢性的な人手不足に悩まされています。今年の上半期に倒産した件数のうち、少なくとも5件には人手不足が影響しています。さらに、帝国データバンクの調査によると、警備業界の約9割の企業が人手不足を感じている現状が明らかになりました。

この背景には、賃金と労働環境の課題が存在します。令和6年の賃金構造基本統計調査によると、「警備員」の月給は26万8300円で、平均的な給与33万400円を大きく下回っています。この状況では、優秀な人材を確保することが一層難しくなるでしょう。

事業継続が難しい小規模事業者

特に厳しいのは、低単価の受注でやりくりしている小規模の警備会社です。急激な賃金上昇に伴い、スタッフを確保できないまま、事業の継続を断念するケースも増えてきています。このような厳しい環境では、業界全体の安定性にも懸念が生じます。

働きやすさを求める業界の変革

労働環境に目を向けると、警備業特有の不規則な勤務体系も問題です。早朝や深夜のシフト勤務は、働く者にとって大きな負担となっています。働き方改革やワークライフバランスが叫ばれる現在、業界としても「働きやすさ」の向上に向けた取り組みが求められています。

これを解決する一手として、AIの導入が挙げられます。危険な作業をAIが代替または補完することで、安全に労働できる環境を整えることが可能です。また、働き手の健康を考慮した勤務体系の見直しや改善も急務です。