東京大学IPCが株式会社OOYOOに出資
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(以下、東大IPC)は、低コストのCO2分離膜を開発している株式会社OOYOOに1億円の出資を行ったことを発表しました。この出資には、京都大学イノベーションキャピタル株式会社や環境エネルギー投資株式会社などが共同で参加しており、オープンイノベーションを通じて新しい技術を育成する取り組みが進んでいます。
OOYOOの技術と目指す未来
OOYOOは、京都大学で開発された高性能膜技術を用い、CO2をはじめとするガスを効率良く分離、回収するシステムを展開しています。この技術は、特に燃焼ガス中のCO2を高濃度で分離できる特性を有し、すでに試作機が完成しており、CO2濃度を95%にまで濃縮することに成功しています。このような技術革新により、化石燃料を使用する発電所などの産業において、CO2の効率的な回収が現実のものとして期待されています。
OOYOOは、さまざまな気体分離のニーズに応えるため、窒素や酸素の分離にも応用可能で、これにより多岐にわたる産業分野への適用が可能となります。このように、沖縄気候を考慮した環境持続可能性を重視したアプローチが、カーボンニュートラル社会の実現に貢献するとしています。
大企業との連携による新たな展開
さらにOOYOOは、住友化学と連携しながら、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業にも参加しており、物質やエネルギーの効率的な使用を図っています。また、TOPPANとの間でCO2分離膜の量産に向けた合意を結んでおり、これにより2026年度を見据えた製品の市場投入を目指しています。
東大IPCの期待と支援
今回の出資に関して、東大IPCの関係者は、OOYOOが持つ優れた技術力と、成長戦略に大きな期待を寄せています。「アカデミアと企業の橋渡し役として、OOYOOの成長を支援することに大きな意味がある」とは、東大IPCのCIO水本氏のコメントです。
経済支援と未来の展望
OOYOOの代表取締役大谷氏は、「国内トップレベルの投資家の評価を受け、大変光栄に思います。この資金を活用し、実証試験機の開発や将来のスケールアップに取り組んでいきます」と話しています。彼らの目標は、地域の特性を生かしつつ、世界的な脱炭素社会の実現に寄与することです。
OOYOOと東大IPCの概要
OOYOOは2020年に設立され、京都市に本社を置いています。同社は、空気やその他のガス分離技術の開発とその製品の販売を行っており、特に脱炭素技術への取り組みに力を入れています。これに対し、東大IPCは、2020年に設立された投資事業会社で、東京大学を背景にアカデミアと産業界の連携を進めています。
この投資は、両者にとっての明るい未来を切り開く第一歩となるでしょう。業界全体が持続可能な成長を実現するために、今後の進展が注目されます。