職場における感情コントロールの実態とその背景
近年、職場での感情の取り扱いが重要視されています。株式会社博報堂の「生活者発想技術研究所」と大阪大学の山田陽子教授との共同研究により、全国の働く男女661人を対象にした「職場における感情に関する実態調査」が行われ、その結果が明らかになりました。この調査では、現代社会において「感情ハック」と呼ばれる自らの感情をコントロールし活用する行動が広まっている背景が探られています。
感情ハックとは?
「感情ハック」とは、マインドフルネスやアンガーマネジメントなど、生活者が自身の感情を有効に管理する行動を指します。この動きは、仕事の生産性を向上させるだけでなく、精神的な健康を維持するためにも重要な要素とされています。研究チームは、都市部とその他地域における感情の扱いの違いについても比較分析を行っています。
主要な調査結果
調査の結果、以下のような傾向が浮かび上がりました。
1.
感情のコントロールが規範化
- 全体の72.2%の回答者が「仕事の場で感情をコントロールすることが求められている」と感じており、特に都市部でこの現象は顕著です。
2.
ポジティブな感情の表現を好む
- 66%の有職者が「ポジティブな感情を表出することが得意な人と働きたい」と考えており、これは職場の文化として定着しつつあることを示しています。
3.
ポジティブな感情への疲れ
- 58.3%が「ポジティブな感情を維持することに疲れている」と答えており、職場でネガティブな感情を表現する機会の不足が明らかになりました。
4.
感情の持ち込みについての葛藤
- 「感情を持ち込みたくない」と「感情がなければできない仕事がある」という相反する考えが64%で共存しており、感情を役立てたいという意向が見え隠れしています。
5.
都市部とその他地域の違い
- 都市部では感情を活用する傾向が強く、「仕事を通じて自己実現したい」と考える人が多い一方で、その他地域では感情を排除したいという傾向が見られます。
現代職場の感情の役割
この調査からは、現代の職場において感情が仕事の一部であるという認識が浸透していることが伺えます。感情は単なる個人的なものでなく、経済的・文化的な価値を持つ「資本」として扱われることが増えています。これを「感情資本主義」と呼び、感情は自己表現や職場での評価に影響を与える重要な要素とされています。
今後は、感情を抑えるだけでなく、効果的に利用する方法を見つけることが求められるでしょう。企業はこの課題に対して新しい提案をし、労働者が自分や他者の感情と向き合う手助けをする必要があります。
感情ハックの未来
私たちの研究は、感情をコントロールし、さらには活用したいという生活者の意向に基づいています。感情が職場でどのように扱われるか、そして生活者がより充実した働き方を実現するにはどうすればよいのか、引き続き探求していきます。ここでの知見が今後の職場環境や企業文化に良い影響をもたらすことを期待したいものです。