不登校の子どもたちの未来を拓く！岡山で社会参加支援セミナー開催レポート

近年、増加の一途を辿る不登校問題。2021年度の文部科学省調査では、小中学校の不登校児童生徒数は過去最高の24万人を超え、その数は9年連続で増加しています。中学3年生時に不登校だった子どもの約2割が、5年後も非就労・非就学状態にあるという深刻な現状も明らかになっています。

この問題に対し、岡山では不登校の子を持つ親を支援するセミナー「不登校からの社会参加に向けて」が開催されました。本セミナーは、学校復帰という短期的な目標ではなく、社会復帰・社会参加という長期的な視点に立ち、不登校状態にある子どもたちの未来を真剣に考える場となりました。

セミナーの内容

セミナーでは、臨床心理士・公認心理師である谷田ひろみ氏を講師に迎え、不登校の子どもたちが社会参加を果たすために必要な4つの力、すなわち「目標達成スキル」「実行機能スキル」「感情調整スキル」「社会性スキル」を育むための具体的な方法が解説されました。

谷田氏は講演の中で、「不登校はただ待つだけではいけない。子どもに合わせて親ができることをすることで、不登校後の状況は大きく変わる」と力強く訴えました。セミナーでは、ワークを通して親ができることを実践的に学び、質疑応答や参加者同士の意見交換の場も設けられ、参加者たちは熱心に耳を傾けていました。

第一部では、家庭での具体的な関わり方や有効な働きかけ、注意すべき点などを学びました。参加者からは、「耳の痛い話もあったが、すぐに実践できる内容ばかりだった」「親としてできることを改めて認識できた」といった声が聞かれ、セミナーの充実度が伺えました。

第二部では、参加者からの質問に谷田氏が丁寧に回答。さらに、不登校経験を持つ先輩ママたちの体験談や、参加者同士の意見交換を通して、孤独を感じがちな不登校の親たちが、仲間と繋がり、励まし合う温かい時間となりました。

参加者の声

参加者からは、「セミナーの内容は大変役立った」「自分自身の課題に向き合い、子どもたちの希望と安心のモデリングになれるよう頑張りたい」「感情調整スキルを磨くことの大切さを再認識した」など、多くのポジティブな感想が寄せられました。

岡山不登校ママの会「Listen Momo」

本セミナーは、2017年に発足した岡山不登校ママの会「Listen Momo」が企画・運営を行いました。月1回、傾聴勉強会やおしゃべり会を開催し、不登校経験を持つ子どもを持つ母親同士が、気軽に安心して語り合える場を提供しています。「Listen Momo」は、小規模なセミナー開催を心掛け、参加者同士の距離が近く、リラックスした雰囲気の中で、講師への質問も気軽にできる点が特徴です。

講師：谷田ひろみ氏

谷田氏は、臨床心理士、公認心理師、産業カウンセラー、コーチなど幅広い資格を有し、不登校、発達障害、引きこもりに関する相談件数は延べ500件以上にのぼります。長年の経験と専門知識に基づき、参加者たちに寄り添い、温かくも的確なアドバイスを提供しました。「子育ては焦る必要はありません。3年くらいの気持ちで取り組んでください」と語りかけ、参加者たちに勇気を与えました。