第10回日本IFIAR総会で議論された監査の新たな課題とは
日本IFIARネットワーク第10回総会の概要
令和8年6月1日に行われた日本IFIARネットワークの第10回総会は、金融庁内の会議室で対面式で開催され、オンライン参加も受け入れる形で行われました。会は15時から17時までの約2時間にわたり、IFIAR事務局長とのディスカッションを通じて、最近の活動報告や共通テーマに基づく議論が行われました。
監査・企業開示に関する動向
総会では、金融庁や公認会計士・監査審査会から、内外の監査や企業開示に関する最新の動向が報告されました。特に、監査を取り巻く環境について、三様監査の実効性やその改善策が重要なテーマとして挙げられました。
共通テーマI: 対話と連携の強化
参加者が共有する意見の一つとして、IFIAR関係者間の対話や連携を強化する必要性が強調されました。日本の市場において、主要な資本市場関係団体が参加する日本IFIARネットワークは、関係者の問題意識を反映させるための貴重な場となっています。この場を通じて、日本の関係者の意見がIFIARの活動に活かされることが期待されています。
共通テーマII: 監査環境の実効性確保
三様監査の課題
最近の会計不正事件では、三様監査の機能不全や経営者による情報遮断が見受けられ、その対応の難しさが浮き彫りになっています。特に、経営者の規律が今後ますます重視されることが予想され、内部監査部門との関係性も重要な要素となってきました。内部監査が経営者の不正に気付いた際のフローを明確にする必要があります。
コミュニケーションの重要性
内部監査部門と監査役との信頼関係を構築することが、内部統制の強化に寄与する点が再認識されました。両者間での透明で開かれたコミュニケーションを進めることが、不正防止に有効であると考えられています。また、内部監査部門の独立性も重視され、取締役会や監査役会のもとに組織されることが推奨されています。
監査業務の効率化
技術の進展に伴い、監査業務の効率化に向けてAIの活用が求められています。特に中小の監査事務所においては、シェアード・サービス・センターの活用が大きな利点となるでしょう。しかし、まだその活用が進んでいない企業も多く、官庁からのサポートが期待されます。
投資家との対話
企業と投資家との建設的な対話の場において、監査役も重要な役割を果たす必要があります。監査役が投資家と直接対話する機会は少ないため、情報提供体制を整え、透明性を高めることが求められています。また、監査報告書における監査役の活動状況やKAM(監査上の主要な検討事項)の見える化が必要されているという指摘もありました。
結論
今回の第10回総会では、監査業務を取り巻くさまざまな課題が浮き彫りとなりました。参加者の意見をもとに、多様な視点から対話を行い、監査の実効性を高めるための取り組みが今後も必要とされています。面倒な内外の調整を乗り越え、よりよい監査環境の確立に向けて、引き続き努力が求められるでしょう。