朝日新聞社のAI(人工知能)に関する基本方針
2023年9月29日、株式会社朝日新聞社(代表取締役社長:角田克)は、AI(人工知能)の利活用に関する考え方を公表しました。この発表は、業務の効率化や新たな価値の創造というAIの大きな可能性を鑑みつつも、同時に伴うリスクを認識し、それに対処するためのものです。具体的には、以下の八つの項目で構成された方針が示されています。
1. 人間中心のアプローチ
朝日新聞社は、AIを人間を補助する技術と位置づけています。最終的な判断や責任は人間が担うべきであり、これが根本的な姿勢です。この考え方は、人間の判断を尊重し、AIをサポートツールとして利用することで、より良い報道を実現することが目的です。
2. 人権の尊重
AIの利活用に当たっては、人権を重視し、無用な侵害を避ける努力をしています。新聞社としての社会的責任を果たしながら、信頼のある情報発信を心がけています。
3. 法令の遵守
関連する法令や社内ガイドラインを厳守することが大切です。また、社員全員にその意義を浸透させるための取り組みも行います。
4. リスク管理
AI技術の使用に伴うリスクを認識し、適切に対処する体制を整えています。万が一の事態に備え、リスクマネジメント体制を確立し、継続的な改善活動を行っています。
5. 透明性の確保
AIの開発や利活用の際には、その過程を適切に説明し、透明性を持たせることが重要です。この姿勢により、読者や顧客との信頼関係を築いていきます。
6. 人材育成
AI時代のメディア企業に求められる知識や技術を持った人材を育成することを目指しています。社員の成長が企業全体の発展に繋がります。
7. 報道の進化
従来の取材方式とともに、AIを活用した新たな取材展開を模索しています。AIの出力結果に対しては、事実確認を徹底し、上記の考え方に妥協せずに対応します。
8. 柔軟な運用
AI技術の発展や社会環境の変化に応じて、朝日新聞社の方針やガイドラインは適宜見直されるべきです。責任を持ってAIを活用し続けるための努力を惜しみません。
AI委員会の設立
2025年4月、朝日新聞社は社内に「AI委員会」を設立しました。これは、AI技術の利活用を推進し、より高い価値を創造するための取り組みの一環です。代表取締役社長の角田が委員長を務め、専任の部会が設けられたことで、業務の効率化や人材育成に向けた具体的な施策が展開されます。
メディア研究開発センター
同年4月に発足した「メディア研究開発センター」では、AIを活用した先進的なメディア技術の研究開発が行われています。新しい報道スタイルの確立や、情報の質の向上を目指しています。
TypolessとALOFA
AIを利用したサービスとして、校正支援エンジンTypolessや、コンテンツ制作を支援するALOFAも展開しています。これにより、取材や報道の精度が向上し、迅速さがもたらされています。
結論
朝日新聞社のAIに関する方針とその取り組みは、今後のメディア環境において、誠実で透明性のある報道を行うために欠かせない要素となるでしょう。最終的には、その根底にある「人間中心の姿勢」が、信頼される情報を届けるための最も重要な原則であると言えます。