保育の質を向上させるAIの可能性と現場の期待についての調査結果
1. はじめに
最近、AI技術の進化により、様々な業界での活用が増加しています。その中でも保育現場でのAIの導入が注目されています。株式会社明日香が運営する「子ねくとラボ」が行った調査によると、保育士の約62%がAIを活用することで保育の質や保護者から家庭への支援が向上すると期待しています。本記事では、この調査結果を基に、AIが保育現場でどのように役立つのか、また現在の課題について考察します。
2. 調査概要
本調査名は「【保育士編】ChatGPTと保育の質に関する意識調査」で、2025年の3月21日から3月23日の期間に、保育士108名を対象にインターネットで実施されました。調査の特徴として、AIがどのように保育に活用できるかという点や、どの程度活用されているかに焦点をあてています。
3. 調査結果
(1) AI活用の期待
調査によると、保育士の62.0%が、ChatGPTなどのAIを活用することで保育の質が向上すると考えており、具体的には「保育計画の作成」や「保護者への情報提供」が大きなニーズとして浮かび上がっています。
(2) AIツールを活用した経験
さらに、39.9%の保育士がすでに何らかの形でChatGPTやAIツールを保育業務で利用した経験を持ち、12%が活用を検討したことがあると回答しています。一方で、39.8%は全く考えたことがないという結果もあり、デジタルツールの導入には二極化が見られました。
(3) AI活用の場面
AIが役立つ場面として最も多く挙げられたのは「保育計画の作成・アイデア提案」で46.3%、続いて「保護者への情報提供・連絡帳作成」で40.7%となっています。これらの業務は、保育士の負担軽減にも寄与する可能性があります。
(4) AI導入への懸念
一方で、AIを導入するにあたり、「保育現場特有の状況を正確に理解できるか不安」や「AIの回答の正確性への疑問」が挙げられ、導入の際の課題も明らかになりました。多くの保育士がAIツールを活用することに前向きである一方で、技術の実際の適用には慎重な姿勢も見られます。
4. 必要なサポートや環境整備
調査から得られたデータに基づき、AIツール活用に向けた必要なサポートとして、「AI活用に関する研修・講習会」が35.2%で最も多く、続いて「保育特化型のAIツールの開発」と「個人情報保護に関するガイドライン」が求められています。これらの支援があれば、保育現場でのAI導入がスムーズに進むと考えられます。
5. まとめ
今回の調査結果からは、多くの保育士がAI活用に前向きであることが分かりましたが、実際の導入には多くの課題が存在することも浮き彫りになりました。保育の質を維持しつつ、テクノロジーのメリットを享受するためには、適切なサポートと教育が必要です。
今後は、AIを効果的に活用した保育現場のあり方について、さらなる研究と実践が求められるでしょう。
詳細な調査結果は、
こちらからダウンロードできます。
子ねくとラボについて
「子ねくとラボ」は、保育に関する研究プロジェクトで、子供と保育士、教育関係者がつながる場を提供しています。具体的には、保育士向け研修やデジタルツールの開発などを行い、より良い保育環境を目指しています。