AIによる病害虫予測で農業を支える「TENRYO」
株式会社ミライ菜園が開発した防除DXアプリ「TENRYO」が、愛知県の豊橋農業協同組合にて10月から導入されることが決定しました。このアプリは、農家の経営リスクを最小化することを目的としており、AIを使って病害虫の発生を予測する新たな手法を提供します。
TENRYOの基本機能とその仕組み
「TENRYO」は、20年以上にわたる気象データとユーザーから得られる発生情報を統合して、独自のAIアルゴリズムを用いて病害虫の出現を予測します。対応する作物にはキャベツ、ブロッコリー、トマト、玉ねぎ、キュウリ、いちご、大根の7種類があり、今後ネギも追加される予定です。このアプリを使用することで、農家は適切な防除のタイミングを把握し、農薬使用量を最小限に抑えることができます。
実際、実証実験の結果、一部の農家では収量が15%向上した事例もあります。これは、AIが提供する予測を基に農薬散布を行った結果、より良い作物の育成が可能になったためです。
JA豊橋における導入とその影響
JA豊橋では、TENRYOを通じて農家への営農指導や、農薬散布のスケジュールを管理する「一斉防除」に役立てることを目指しています。従来の方法では、発生情報の管理が個別の指導員に任されていたため、外出先からのアクセスが難しいという課題が存在しました。
TENRYOが導入されることで、マップ上に発生報告をリアルタイムで共有する仕組みが実現し、地域全体の発生状況を常に把握できるようになります。これにより、農家は効果的な防除対策を迅速に講じることが可能になります。
農業のデジタル化によるメリット
近年、気候変動が進行し、病害虫の発生予測が難しくなっています。そこで必要なのは、人間の経験や感覚だけではなく、AI技術の導入です。ミライ菜園の代表取締役である畠山友史氏は、TENRYOが農家の営農指導の質を向上させ、農業の持続可能性に寄与することで、環境負荷の低減にも繋がると語っています。
指導員の減少という課題にも対応しつつ、共通のデータを基にした訪問を行うことで、農家への指導力を維持し向上させることが期待されています。
未来の農業を見据えて
TENRYOの導入は、農業の生産性向上だけではなく、農業従事者が抱える多くの課題を解決する新たな手法として、期待されています。病害虫予測のデジタル化は、農業の環境負荷低減や、持続可能な農業経営を実現するための重要な一歩と言えるでしょう。
MINAいえな株式会社は、今後もこのアプリのさらなる普及を目指し、農家の所得向上と持続的な農業の実現に貢献していく所存です。