最近、認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンが企業のサステナブル調達を促進する「フェアトレード・ワークプレイス登録制度」を開始しました。この制度は、社内で年間を通じて国際フェアトレード認証製品を使用・提供する企業を対象としており、幅広い業種が参加できるのが特徴です。
この取り組みは、フェアトレード製品の使用を通じて企業の社会的責任を果たすことを目的としており、現在登録企業にはアストラゼネカ、コニカミノルタジャパン、トプコンなどが名を連ねています。これらの企業は、社内食堂や来訪者向けの飲食物、さらには制服などをフェアトレード製品に切り替えることで、社会へのポジティブな影響を創出しています。
登登録には2つのランクがあり、通常の「フェアトレード・ワークプレイス」と、より大きなインパクトを持つ「フェアトレード・ワークプレイス ゴールド」が存在します。後者は、飲料や食品の提供数が特定の基準を超えた企業に贈られ、より本格的なサステナブル調達を実現しています。
フェアトレードとは、公平で公正な取引を意味し、通常の市場では取引されにくい小規模な生産者を支援する仕組みです。例えば、コーヒーやカカオなどの農産物の生産から販売に至るまで、労働者の権利を守りつつ持続可能な方法で取引を行い、環境に配慮した活動を推進しています。
2023年の国内のフェアトレード市場規模は、前年比7.6%増の211億円に達し、着実に拡大しています。この成長は、企業のサステナビリティの取り組みが加速していることを反映しています。また、経済産業省が発表した「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のガイドライン」によって、企業は人権リスクの認識と対応の強化が求められるようになってきました。
新制度の意義は、企業が日常的に使用する製品をフェアトレードに切り替えることで、企業の価値向上や従業員のサステナビリティ意識を高めることにあります。社内の食堂や制服など、身近な環境でフェアトレード商品を導入することで、従業員が社会貢献に共感しやすくなり、企業全体でのサステナビリティの取り組みが浸透するのです。
次に、登録企業のコメントからも取り組みの実態が見えてきます。コニカミノルタジャパンでは、社内カフェで約2万杯のフェアトレード飲料を提供し、従業員の日常にすっかり溶け込んでいます。また、豊田通商では社員食堂でフェアトレードコーヒーを提供し、年間8万杯以上の利用がされています。これにより、社員の社会課題に対する意識が高まり、企業全体での動きにつながっています。
日本郵船は、社員喫茶室でのフェアトレード製品の全面切り替えを行い、これによって社員の認知度が向上しました。大日本印刷も社内で認証製品を導入し、持続可能な取引の先駆者として活動しています。さらに、アストラゼネカやトプコンも、各自の事業形態に合った形でフェアトレードを取り入れています。
フェアトレード・ワークプレイス登録制度は、企業の社会的責任を果たすとともに、環境に優しい製品を通じて持続可能な社会の実現に寄与するものです。これにより、企業はサステナブル調達への参画が容易になり、より多くの企業がこの取り組みを実践することが期待されます。今後もこの制度の効果が広がり、企業のサステナビリティ意識が高まることを願っています。