日本企業のDX成功事例に学ぶ変革の実態とは?
2024年11月14日に東京都渋谷で開催されたセミナー「日本企業は、どうやったら変われるのか?」では、富士通株式会社の執行役員である福田譲氏が登壇し、デジタル変革(DX)に関する実践的な事例が紹介されました。このイベントは、リトライブ株式会社が推進するコミュニティサービス「BeaTRIBES」の一環として行われました。
セミナーでは、急速に進化するデジタル環境において企業がどのように生まれ変わるべきか、多くの参加者にとって価値のある洞察や具体事例が提供されました。以下に、セミナーの主要なトピックを振り返ります。
1. DXの重要性と再定義
福田氏は、DXの本質を「時代に即したビジネスの再定義」と位置付け、ただの技術導入で終わらないことが重要と強調しました。富士通は「社会課題×テクノロジー」を基軸にした新しい事業モデル「富士通Uvance」を策定し、多くの企業が共感できるビジョンの下で変革を進めています。
このアプローチは、技術開発の選択と集中や、パートナーシップの拡大を通じて行われ、新たな競争ルールの創出に寄与しています。富士通は顧客企業をただの取引先として扱うのではなく、事業のパートナーとして共創するための努力を続けているのです。
2. 組織を動かすための具体策
福田氏は「ポスティング制度」という革新的な取り組みを紹介しました。これは、社員が挑戦したい業務を自らオファーし、自らの能力と報酬の向上を図る制度です。過去3年間に27,000人がこの制度に挑戦し、7,500名以上が成功したとのこと。これにより、社員のスキルアップや主体性が促進されています。
さらに、全社員がデザイン思考を学び、自律主義を育む「両利きの経営」の理念が紹介されました。これにより、明確な解答がある場面ではPDCAを、未知の課題に対しては迅速に試行錯誤することが求められています。
3. デジタルによるコミュニケーション改革
福田氏は社内SNSの利用促進により、部署や国を超えた高いコラボレーションが実現したと説明しました。8割の社員が利用するこのSNSは、自由な意見交流や共創の場を提供し、AI技術を駆使して迅速かつ効果的に社員の声を集約しています。特に、翻訳機能を使用することで海外の社員とのコミュニケーションが円滑になり、グローバルな価値創造を加速しています。
4. 経路依存性を打破する取り組み
福田氏は日本企業が抱える「経路依存性」についても言及し、この現象を打破するために新たな人事制度や評価基準の導入が必要であると強調しました。終身雇用制度や新卒一括採用の概念から脱却し、より柔軟で持続可能な組織を築くための戦略が求められています。
5. 次世代への道しるべ
福田氏は「パーパスドリブン」の考え方が今後の組織改革において重要であると述べ、自らのビジョンを持って行動する組織文化を育成することが求められると示唆しました。また、組織の3割が変わることで全体が変わるという理論の下、次世代に向けた体制の構築が進められています。
セミナーの反響
参加者からは、「自社の在り方を見直すきっかけになった」「実践的なヒントを多く得た」といった前向きな声が寄せられ、大変好評でした。イベント終了後には懇親会も実施され、参加者同士の意見交換や新たなビジネスパートナーシップの構築が進められました。
今後もリトライブ株式会社は、「BeaTRIBES」を通じて定期的にビジネスに関連する新たな学びの場を提供していく意向です。