医療分野のイノベーションを進める連携
千葉県千葉市に位置する千葉大学医学部附属病院と、福井県福井市本社の株式会社ビットブレイン、さらに東京に本社を構える丸紅情報システムズが、2025年1月17日に連携協定を結びました。この協定は、医療臨床データの安全かつ迅速なリモート共有の実現を目指しています。この新たな取り組みの実行により、医師の働き方改革や医療技術の向上が期待されています。
進展する医療技術とその課題
近年、CTやMRIなどの画像検査技術は目覚ましい進歩を遂げており、これらは現代医療において欠かせない存在となっています。しかしながら、これらの検査件数は増加の一途を辿っており、その一方で国内では放射線科医が不足しているという課題も浮上しています。この不均衡を改善するためには、遠隔地にいる放射線科医による画像診断の導入が必要とされています。
医療専用閉域ネットワークWCIの活用
ビットブレインが開発した医療専用の閉域ネットワーク「WCI」は、インターネットとは物理的に接続されていないため、より高いセキュリティを確保しています。これにより、病院間での安全な通信が行えるようになり、遠隔読影システムも活用しやすくなります。このネットワークは、日本全国に広がる通信インフラを支え、データの高速かつ大容量の通信を実現します。
実証実験の内容と目的
本実証実験では、以下の二つの検証が行われます。第一に、「通信の安全性・高速性・大容量性」で、WCIを通じて外部からのサイバー攻撃のリスクを排除し、高速かつ遅延のないデータ通信の実現を目指します。次に、「遠隔読影」においては、千葉大学病院の画像診断システムとビットブレインの遠隔読影システムを連携させ、外部の放射線科医が安全に画像診断を行える環境を整えます。
実証実験の期間と期待される成果
この実証実験は、2025年1月17日から2027年3月31日までの約2年間を予定しています。ビットブレインはWCIの提供と運用を担当し、千葉大学病院は実験環境を整備します。実験の結果は、千葉県内の医療機関へ医療専用閉域ネットワークの導入を広めるための基盤となります。
未来の医療を見据えて
この取り組みは、千葉県の620万人の県民に対する医療サービスの提供に大きな影響を与えるでしょう。ビットブレインと千葉大学病院、丸紅情報システムズの連携は、医療の現場における情報共有の新しい形を示し、今後の医療の発展に寄与すると期待されています。私たちの健康を支えるための技術革新が、こうして一歩踏み出されることになりました。