船場と米Autodesk社の戦略的提携が内装業界に与える影響
株式会社船場(本社:東京都港区)は、米国のデザインソフトウェア大手Autodesk社と戦略的提携に関する覚書(MOU)を締結しました。この協力関係により、船場はAutodesk Construction Cloud(ACC)を利用して、共通データ環境(CDE)を構築し、業務プロセスの改革に取り組んでいきます。
B を駆使した空間づくりの高度化への期待
近年、空間づくりの環境は大きく変化しています。持続可能性や安全性が求められる中、労働力不足の問題も深刻です。内装業界では設計や施工プロセスの複雑さが増しており、従来の手法ではなかなか対応できない状況です。こうした中で、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用は特に注目されています。BIMは、建物や空間に関わるあらゆる情報を集約し、設計から施工、運用までの全プロセスを効率化し可視化するための重要な手段です。
船場は2019年にBIM推進室を設立し、既に従業員のBIMに関するトレーニングを実施してきました。中期経営計画2024では、BIMを設計業務のメインツールとして位置付け、76%の設計職がRevitの基礎技術を取得し、約180件のプロジェクトでBIMを導入してきました。これは単なるツールの導入にとどまらず、社内の文化としてBIMを定着させている証です。
提携による業界全体でのBIM普及への貢献
今回のMOU締結により、船場は全社的なデジタルプラットフォームの構築を進め、生産性向上や新たなビジネスの創出を目指します。ACCの導入を通じて、船場の情報管理システムの強化やBIMの活用拡大が期待されます。またAutodeskは、建築・建設業界のデジタル変革の先駆者として、本提携によって日本の内装業界におけるBIM普及をさらに加速させることに貢献します。
MOUの重要な3つのポイント
1.
全社CDEの構築と業務プロセスの革新
ACCを全社的なCDEとして標準化し、ITエコシステム内での情報の一元化を図ります。これにより、設計・施工業務のプロセスを変革し、業務の高度化を促進します。
2.
協力パートナーとの連携強化
Autodeskのクラウドサービスを利用して、協力パートナーと密接に連携し、共同設計やプロジェクト管理を効率化します。
3.
BIM活用を促進する教育コンテンツの展開
船場が社内向けに開発した教育プログラムを、Autodeskとの協力により社外に展開し、業界全体の人材育成にも寄与します。
船場とAutodeskのビジョン
船場の代表取締役社長小田切潤氏は、この提携が「BIM経営」を次のステージに引き上げる重要な一歩になると述べています。Autodeskの中西智行氏も、この提携を通じて、内装業界のBIM導入を進め、持続可能で優れた空間づくりを支援していきたいと意欲を示しています。
この提携は単なる技術導入にとどまらず、業界全体の価値を向上させるための具体的な取り組みへと繋がるものです。今後の船場とAutodeskの連携が、内装業界にどのような新たな風を吹き込むのか、その展開に注目が集まります。