三国湊活性化プロジェクトが始動
福井県坂井市に位置する三国湊は、かつて北前船の寄港地として栄えた風情ある町です。しかし、少子高齢化の進行に伴い、住民が減少し、地域活性化が急務となっています。そんな中、三国湊の魅力を引き出し、観光振興を図るための「三国湊共創プロジェクト研究」が8月28日に始動しました。このプロジェクトでは、市、NTT西日本、事業構想大学院大学の三者が協力し、地域の資源を活かした新しい企画創出を目指します。
初講義が行われた三国コミュニティセンターには、公募で選ばれた12名の研究員が集まり、各々が持つ三国湊の魅力や活性化への思いを共有しました。研究員たちは、来年3月までの全20回の講義を通じて、具体的な企画プランを練り上げていくことになります。特に、地元の食材を活用した取り組みや観光体験型のプログラムが期待されており、地域に新たなにぎわいを生み出す手助けになることでしょう。
プロジェクトのオリエンテーションには、池田禎孝市長が出席し、「三国湊は懐かしい風情を持ちながらも、活気が不足しているという声がある。このプロジェクトを通じて、皆さんの斬新なアイデアをぜひ深掘りしてほしい」と激励しました。続いて事業構想大学院大学の河村昌美教授が研究員に任命証を手渡す場面もあり、プロジェクトへの期待感が高まりました。
地域資源を活かす
旧三国市街地は、九頭竜川の河口に沿って広がる歴史的なエリアで、江戸時代に栄華を誇った北前船の貿易で賑わいました。現在でも、旧市街には和風の美しい町並みが広がり、地域の名物である「三国祭」も訪れる人々を魅了しています。しかし、少子高齢化による住民の減少は深刻で、空き家も増加の一途をたどっています。このような中で、三国湊の魅力を残しつつ、いかに新たな活気を生み出すかが、地域の重要な課題となっています。
今回のプロジェクトには、県内外から集まった12人の研究員が任命されました。それぞれが強い思い入れを持ち、地域に密着したアイデアを提案しています。例えば、地元食材を活用した料理教室を企画している倉橋藍さん(44歳)は、「坂井市には豊富な食材があるのに、まだ多くの人に知られていない。食と観光をテーマに、自分らしいアイデアを形にしたい」と意欲を示しました。
ユニークな発想を実現へ
プロジェクトで寄せられたアイデアの中には、三国湊の手仕事を生かした観光体験型の空間を作ることや、地域の食材を用いながら食品ロス削減に寄与する飲食業、また坂井市の歴史を反映した新たな食の魅力の開発といったユニークな提案も含まれています。これらの発想が講義やワークショップを通じてどのように形になるのか、研究が進むにつれ、その成果が楽しみです。
三国湊の未来を変えるべく始動したこのプロジェクト。地域に新たな魅力を提供し、多くの人々に訪れてもらえるような活性化プランが実現することが期待されています。