農業に新たな風を吹き込むインパクト投資の実証実験
最近、AGRIST株式会社とアンドパブリック株式会社の共同により、農業分野に特化したインパクト投資の実証実験が始まりました。この提携は、農業の持続可能性を追求し、社会的インパクトを可視化・評価することを目的としています。それでは、この実証実験の目的や背景、今後の展望について詳しく見ていきましょう。
AGRISTとアンドパブリックの提携概要
AGRISTは、AI搭載型自動収穫ロボットを用いたスマート農業を推進するスタートアップで、宮崎県新富町を拠点にしています。テクノロジーを駆使して農業の課題を解決し、持続可能な農業の実現を目指す姿勢が評価されています。これまでにも、数々の国内外の賞を受賞してきた実績があります。
一方、アンドパブリックは社会的インパクトを最大化することに特化した企業で、評価・可視化のノウハウを持っています。この強力な二社のタッグによって、農業界に新たな投資機会が生まれることが期待されています。
農業におけるインパクトンファシリテーション
この実証実験では、農業分野におけるインパクト投資の具体的な方法論が確立される予定です。特に、AGRISTが提供する自動収穫ロボットの導入により、どのように収穫効率が向上し、労働力不足の解消につながるのかが数値的に示されることになります。
具体的には、AIロボットによる収穫作業の効率化が、農家の生産性向上にどのように寄与するのかを測定し、その結果を基にインパクト投資家にアピールするための資料作成が行われます。
背景にある日本の農業の課題
現在、日本の農業は高齢化や労働力不足、耕作放棄地の増加といった多くの困難な課題に直面しています。こうした問題解決には、テクノロジーの導入だけでなく、新たな資金循環の構築が必要です。最近では、社会的にプラスの変化をもたらす投資であるインパクト投資が注目されています。
AGRISTは、AIロボット「L」を開発し、実際にピーマンなどの収穫作業を効率化してきました。例えば、2024年5月から新富町の複数農家で導入が開始され、収穫作業時間が約30%削減されるなどの具体的な成果を上げています。
実証実験の目的
この実証実験の目的は、AGRISTの事業が創出するインパクトを「見える化」することで、投資家からの資金流入を促進し、持続可能な農業の実現を加速することです。また、この取り組みを通じて「みどりの食料システム戦略」の目標にも貢献する意義を持っています。
具体的なステップ
このプロジェクトの具体的な取り組みは主に以下の三つのステップで構成されています:
1.
ロジックモデル策定 - AGRISTの事業が引き起こす社会的な変化と、その因果関係を明確にする。
2.
インパクト指標の設計 - 社会的・経済的インパクトを測る具体的な指標を設計する。
3.
インパクトサマリーの作成 - 既存の社内データを活用し、現状のインパクトを可視化する。
今後の展望
今後、AGRISTとアンドパブリックは、インパクトの評価・可視化に向けたフレームワークを実証実験を通じて構築し、2025年に向けて具体的な成果を期待しています。最初の成果は2025年の夏頃に発表される予定で、農業インパクト投資パッケージとして他の農業従事者にも展開される見込みです。
AGRIST代表取締役の秦裕貴氏は「この取り組みは農業の持続可能性を示す重要なステップ」と語り、より多くの投資を農業分野に呼び込むことが急務であると強調しています。
まとめ
AGRISTとアンドパブリックの連携によるこの実証実験は、農業分野における新たな投資機会を生み出し、持続可能な農業の未来へと繋げる重要な取り組みです。これからの農業がテクノロジーの力で進化していく姿に、我々も注目していきたいと思います。