企業のBCP策定状況が示す新たなる展望
株式会社帝国データバンクが実施した最新の調査によると、全国26,389社の企業を対象にした「BCP(事業継続計画)」に関する意識調査の結果、BCPを策定している企業は20.4%となり、初めて2割を超えたことが明らかになりました。これは、企業が自然災害やテロ、パンデミックなど様々なリスクに備える姿勢が高まっていることを示唆しています。
ただし、大企業と中小企業の間での格差が依然として存在しています。調査では、大企業のBCP策定率が38.7%に対し、中小企業は17.1%に留まっており、その差は年々拡大しています。2023年5月の調査での差が20.2ポイントであったのに対し、今回の調査では21.6ポイントに増加しており、この差はリソースや専門知識に乏しい中小企業が直面している課題を浮き彫りにしています。
需要の高まりと自然災害への備え
調査結果により、BCPを策定していない企業の理由として「スキル不足」「人材の確保が難しい」「時間がない」といった意見が多く寄せられました。
一方で、BCP策定を進めている企業の多くは、事業継続におけるリスクとして「自然災害」が70.8%を占めるという現実もあります。具体的には、地震、風水害、噴火などの自然災害に対しては、多くの企業がリスクを抱えているとしていることが分かりました。
また、情報セキュリティリスクや感染症などの影響も無視できない要因となっています。特に中小企業は、従業員の退職や取引先の倒産リスクに対して敏感になっている様子が見受けられます。彼らにとっては、事業の継続そのものが命題となっているのです。
どのように備えているのか
BCPを策定している企業では、具体的にどれだけの準備が進んでいるのかも気になるところです。
例えば、「従業員の安否確認手段の整備」が68.3%で最も高く、次いで「情報システムのバックアップ」が59.9%と続きます。これらの対策により、事業中断時に従業員や企業資産を守るための基盤が築かれています。
中小企業の現実と必要な支援
一方で、中小企業がBCPを策定しない理由としては、必要性を感じられないことや費用がネックになることが多く見られます。「少数の人員で日常業務を回す中で、BCP策定の意味を感じない」「コストに見合わない」との声も少なくありません。このように、意義や重要性への認識が不足している場合、必要な支援が必要です。
企業のリーダーが自社の状況を見つめ直し、BCPを重要な導入プロジェクトとして捉えることが求められます。特に、自然災害が多発する地域に位置する企業は、事前の対策が必要です。また、行政との連携や同業者との情報共有もBCP策定を助ける大きな力になります。
まとめ
今回の調査を通じて、BCP策定の重要性が高まりつつあるものの、その進展は企業の規模によってばらつきが見られることが明確になりました。大企業はリソースや専門的な知識を持つ一方で、中小企業は当然のことながら多くの制約に直面しています。
BCP策定における意識向上や、企業におけるリソースの適切な配置が、今後ますます重要な課題として浮上してきていると言えるでしょう。 企業が想定するリスクをしっかりと把握し、対策を講じることが今後の継続的な成長に不可欠です。この機会に、すべての企業が見直すべきです。