コンゴ東部における性暴力被害とその医療支援の現状
現在、コンゴ民主共和国の東部地域では、性暴力の被害が深刻化しており、国際社会からの支援が求められています。国境なき医師団(MSF)によると、2024年に治療を受けた性暴力被害者の数は過去最多の4万人に達しました。この状況は、継続なき武装勢力との戦闘によってさらに悪化しています。2025年も、多くの被害者が武器で脅され、暴行を受け続けています。
MSFは、すべての戦闘当事者に対し、民間人の安全を守ることと、必要な治療や支援を受ける権利を確保するよう求めています。また、国際社会に対しては、性暴力被害者へのケアを優先的に行うことが重要であるとの呼びかけも行っています。
増加する避難民と危険にさらされる女性たち
コンゴ東部では、国軍と武装勢力の戦闘が続く中で、避難民が急増しています。特に北キブ州の州都ゴマでのキャンプ撤去は、避難していた多くの女性を危険にさらす結果となりました。彼女たちは帰村できず、子供と共に避難先に残り、さらなる暴力に曝されることが増えています。MSFによれば、2025年1月から4月までの間に、約7400人の性暴力被害者が治療を必要としていたと報告されています。
地元のプロジェクト・コーディネーター、フランソワ・カラス氏は、「多くの女性が病院に入院する際、宿泊を条件に性行為を強要されるケースが非常に多い」と苦しい現実を訴えています。特に、家を失った女性たちは安全な休む場所を見つけることすら難しい状況に置かれています。
武装集団による脅威
今年、報告された性暴力の多くは、武器を持つ者によるものでした。この地域では多くの人々が武器を所持しているため、個々の犠牲者が特定されることが困難です。カラス氏によれば、ゴマでは夜間の治安が悪化しており、特に女性が狙われやすい状況にあります。多くの被害者が夜間に襲われ、逃げることすらままなりません。女性の一人は、「武装集団が自宅に押し入ってきて、目の前で夫が殺された」と語り、その恐怖を表現しました。
南キブ州でも状況は厳しく、MSFはすでに700人近い被害者を治療していると報告しています。ここでも、報復の恐れや地理的な事情から、医療へのアクセスが困難で、多くの人々が支援を受けられない状況です。
助けを求める声
性暴力の被害者は、女性だけに限らず、男性にも多くみられるとされています。性的暴力は被害者に多大な健康、心理的、社会的影響を及ぼし、家族からの拒絶や社会的な汚名をもたらすこともあります。したがって、被害者が住み続ける環境は非常に厳しいものとなっています。
医療環境の悪化も問題で、特に北キブ州と南キブ州の医療施設では、必要な医薬品や治療キットが不足しています。カラス氏は、「供給問題や国際的な人道軌道の資金削減が、今後の支援に対する懸念を高めている」としつつ、「いかなる状況でも、性暴力を受けた女性や子供を見捨てることはできない」、と強く訴えています。
MSFはコンゴ東部で、性暴力被害者への医療支援に加え、心のケアも提供しています。これには、性感染症の予防や緊急避妊、安全な中絶などの医療サービスが含まれており、重傷の患者を専門医のいる病院へ搬送する支援も行っています。
国際社会のさらなる支援と、性暴力被害への理解が求められている今、MSFはその活動を通じ、すべての関係者に対し、民間人の保護と医療アクセスの保証に実効を上げるよう努力することが必要であるとしています。