資生堂、手話で繋がる美容相談サービス本格始動
株式会社資生堂は、聴覚に障碍のある方々に向けた画期的なオンライン美容相談サービスを本格的に開始しました。2024年10月のプレオープンを経て、11月7日より正式にサービス提供を開始しており、既に高い顧客満足度を得ています。
このサービスは、資生堂のオンライン総合美容相談「Online Beauty」の一環として展開されています。聴覚に障碍のある方が美容カウンセリングを受ける際に直面する、言葉の壁や心理的な障壁を取り除くことを目指し、手話、口話、チャットといった多様なコミュニケーション手段を提供することで、一人ひとりに寄り添ったパーソナルな美容体験を実現しています。
誰もが美しく輝くための挑戦
サービス開始の背景には、社内外の聴覚障碍者の方々へのヒアリング調査があります。「手話ができるスタッフがいない」「筆談だと時間がかかる」といった課題が浮き彫りになり、気軽に相談できない現状が明らかになりました。
そこで、資生堂は社内の当事者を中心にプロジェクトチームを結成。約10ヶ月に渡る開発期間を経て、最適なコミュニケーション方法や分かりやすい手話表現を考案。利用者のニーズに寄り添ったサービスの構築に成功しました。
プレオープン期間には、利用者から「手話で気軽に相談できるのは嬉しい」「メイクがもっと好きになった」といった喜びの声が多数寄せられ、5段階評価で平均4.9という高い顧客満足度を獲得。この成功を踏まえ、本格稼働に際しては、サービス利用の流れを分かりやすく説明するチャット機能の導入や、予約枠の増設など、更なる利便性向上に努めています。
障碍者雇用促進と多様性へのコミットメント
資生堂はこのサービスを通じて、聴覚障碍者の方々への支援だけでなく、美容業界における多様性拡大にも積極的に取り組んでいます。
現在、デジタル領域に特化した「オムニPBP(パーソナルビューティーパートナー)」2名が手話スキルを習得し、カウンセリングを担当。将来的には、手話に堪能な聴覚障碍者の方々も美容職として採用し、活躍できる環境を整備していく計画です。
手話による美容情報発信の拡充
より多くの聴覚障碍者の方々に美容情報を届けるため、資生堂はデジタルPBPによるSNS発信も強化。Instagramアカウントでは、手話を使った美容情報発信を積極的に行い、情報へのアクセスバリアフリー化を推進しています。
資生堂のDE&Iへの取り組み
資生堂は、「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」という企業理念のもと、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を重要な経営戦略に位置付けています。
国内グループ全体で約400名もの障碍のある社員が活躍しており、高い障碍者雇用率を誇ります。視覚障碍者向けには点字版美容テキストや音声読み上げ対応ウェブサイトなどを提供するなど、長年に渡る継続的な取り組みが評価されています。
今回の手話対応美容相談サービスは、「職域拡大プロジェクト」の第2弾として位置づけられており、今後も障碍者の方々がそれぞれの能力を活かして活躍できるよう、多様な支援を継続していく方針です。
未来への展望
資生堂は、顧客の声を反映させながら、このサービスを継続的に進化させていくことを表明しています。聴覚障碍者の方々にとってより使いやすい、そしてより質の高い美容体験を提供することで、真のインクルーシブな社会の実現に貢献していく姿勢を示しています。