医療とクリエイティブの新たな挑戦
2023年1月23日、横浜市立大学とクリエイティブスタジオWhatever Co.が共同で、株式会社オープンメディカルラボ(Open Medical Lab, Inc.)を設立しました。この新会社の目的は、ウェルビーイング実現のための社会実験とその実装を行うことにあります。従来の医療だけではなく、クリエイティブなアプローチを使って生活者に密接に関わるプロジェクトを進めていくことが目標です。
超高齢社会におけるウェルビーイングの課題
日本は急速に超高齢社会に突入しています。これに伴い、健康に関する新たな課題が増え続けています。また、テクノロジーの進展により、差別や孤独といった新しい社会的問題も浮き彫りになってきました。このような環境の中で、ただ医療を提供するだけでなく、すべての人々が身体的、精神的、社会的に充実感を持つ状態、すなわち「ウェルビーイング」の重要性が増しています。
政府や一般企業も、この「ウェルビーイング」への取り組みを優先課題とする動きが加速しています。しかし、その実現のための具体的な方法がわからないまま、従来の枠組みの外へ出る構えが求められているのです。
OMLの設立背景
横浜市立大学では、医学の研究にクリエイティブな手法を活用する「コミュニケーションデザインセンター」が設立され、ウエルビーイングの実現に向けた基盤研究を進めています。みんなが自己実現できる世界、豊かなコミュニティを目指す「イネーブリング・シティ」プロジェクトでも協力し、ここからOpen Medical Labの設立に至りました。オープンメディカルラボは横浜市立大学の公認を受けているベンチャーでもあります。
新たなアプローチの提案
OMLでは「ハピネスドリブン・アプローチ」を採用しており、健康に対するポジティブな動機付けを希望しています。この方法論に基づき、健康行動を促進するための施策やプロダクトを設計していきます。具体的な手法としては、ポジティブ心理学からの「PERMAモデル」を参照し、さまざまな理論を組み合わせる予定です。
OMLが提供する主なサービス
1.
新規事業・プロダクト開発支援
ウェルビーイングを目的としたプロジェクトにおいて、企業と連携しながら最適な解決策を提案します。
2.
マーケティング・ブランディング支援
ヘルス/ウェルネス領域のマーケティング戦略に沿って、独自の知見を生かした支援を行います。
3.
ハピネスドリブン・アプローチの研究開発
研究機関と協働で、実装手法や評価手法の開発に取り組みます。
4.
自社サービスの展開
成果物を活用した自社サービスを準備中です、今後、企業パートナーも広く募っていく方針です。
具体的なプロジェクト例
病院食や介護食のメニュー開発を行うことで、食事の幸福度を高めることを目指します。
- - 健康経営のためのワークエクスペリエンスデザイン
働く人々のウェルビーイングを促進するための企業のカルチャーや職場環境デザインを支援します。
地域住民の幸福度を挙げる街づくりに挑戦します。
経営体制と設立母体
OMLのCEOを務める武部貴則氏は、横浜市立大学の特別教授であり、さまざまな受賞歴を持つ医学博士です。彼に加えて、Whatever Co.の川村真司氏や上條圭太郎氏がコラボレーションし、豊かなアイデアの具現化を図っています。
OMLの設立は、医療とクリエイティブの新しい融合を象徴しています。ウェルビーイング実現のため、今後の展望が注目されます。