駿河蒔絵展「蒔く、絵師たち」の魅力
静岡県静岡市に位置する駿府の工房、匠宿にて、2025年12月19日から2026年2月1日までの間、特別な展覧会「駿河蒔絵展『蒔く、絵師たち』」が開催されます。この展覧会では、地域に根付いた伝統的な蒔絵技術と、それを駆使する絵師たちの作品を一堂に展示します。
蒔絵の起源と技法の進化
蒔絵とは、漆でデザインを描き、その乾燥過程で金銀粉や色粉を吹き付ける美しい技法です。この伝統技術は文政11年(1828年)、静岡の塗師・中川専蔵が信州の優れた画家から技術を学ぶことから始まりました。当初は花鳥草木を題材にした作品が多く、漆器や雛具、茶道具に取り入れられていました。
さらに、天保元年(1830年)には江戸から蒔絵職人の小林留吉と小林遷次郎が静岡に移住し、駿河蒔絵はその技術を高めていきます。明治時代には、西洋文化の影響を受けてデザインの幅が広がり、従来の技法を応用し、より多様な作品が生み出されていくこととなりました。
現代では、文箱やオルゴール、写真立て、鏡台など、日常生活で使用する様々なアイテムに蒔絵が施されるようになり、特に消粉蒔絵や平蒔絵、研ぎ出し蒔絵など、技法の精緻さが際立っています。
展覧会の特徴
本展覧会では、蒔絵の技術を引き継ぐ数多くの職人たちの作品が展示され、来場者はその魅力を間近で体感できます。出展者には、中條峰雄や鈴木寿希といった著名な絵師たちが名を連ねており、それぞれの独自のスタイルと技法が集結します。展示品は、伝統的な手法によって仕上げられた作品から、現代的なアプローチによる新たな試みまで多岐にわたります。
また、会場である匠宿伝統工芸館の入口回廊には、東海道五十三次を描いた羽子板が飾られ、蒔絵の奥深い世界をさらに引き立てます。この機会に、繊細で華やかな蒔絵の魅力をぜひご堪能ください。
展覧会の詳細
- - 会場: 駿府の工房 匠宿内 匠宿伝統工芸館
- - 住所: 静岡県静岡市駿河区丸子3240-1
- - 開催期間: 2025年12月19日(金)~2026年2月1日(日)
- - 休館日: 月曜日(月曜日が祝日の場合は営業、翌平日休館)
- - 開館時間: 10:00~18:30
- - 入場料: 無料
- - 後援: 静岡蒔絵組合、静岡特産工業協会など
展覧会の詳細については
公式サイトをご覧ください。
この展覧会は、静岡の伝統工芸の美しさを再発見し、地域文化への理解を深めるための素晴らしい機会です。全ての皆さまのご来場を心よりお待ちしております。