単身世帯の幸福度とその因子
日鉄興和不動産株式会社が運営するライフデザイン総研は、昨今増加している単身世帯の幸福度に影響を与える因子について、最新の調査を実施しました。調査は首都圏在住の20歳以上の男女1,600名を対象に行われ、単身世帯の生活の質を示す「Quality of Single Life」(QOSL)を測るための6つの因子が明らかにされました。
1. 調査の背景
近年、日本では「ひとり暮らしの世帯」の割合が増加しており、2040年には約30%に達すると予測されています。このような状況の中、ライフデザイン総研は単身世帯の幸福度向上を目指し、生活の質を測るQOSLの因子を特定するために調査を実施しました。コロナ禍を経て、ライフスタイルや価値観が変わる中、単身世帯のニーズを正確に把握することが求められています。
2. 調査結果の要点
調査の結果、以下の6つのQOSL因子が特定されました。これらの因子は、単身世帯が幸福度を感じる上で重要な要素として位置付けられています。
1.
賃金因子:単身世帯は自分の賃金が収入の主な源となるため、賃金の満足度が幸福度に直結しています。
2.
安心因子:困った時に頼れる人がいるかどうかが重要で、特に男性のスコアが低いことがわかりました。
3.
食生活因子:独身生活の食生活に満足しているかが、単身者にとっては特に意味のある問題です。
4.
居住地選択の裁量因子:住む場所を自由に選べることが幸福度にプラスの影響を与えています。
5.
財産管理因子:お金の管理に関する満足度が、幸福度に大きな影響を及ぼすことを示しています。
6.
仕事・働き方の裁量因子:仕事に対する自由度の高い選択肢が、幸福度に寄与しています。
3. 幸福度テストの結果
調査では単身世帯の平均幸福度は5.49ポイント、非単身世帯は6.41ポイントで、単身世帯の幸福度は約1ポイント低い結果となりました。このスコアは世帯構成によるものであり、特に20代では差が小さいですが、30代・40代になるとこのギャップは広がることが確認されました。
4. 年代別のQOSL因子
それぞれの年代によって影響を受ける因子も異なります。20代は家族関係因子や住宅条件因子が満足度の低い因子として挙げられました。一方で30代は、お金の裁量因子が特に重要になり、40代では人との出会い因子が顕著な傾向を示しています。50代以上では、仕事のやりがい因子や身体的健康因子が幸福度に強い影響を与えています。
5. 単身世帯の工夫と悩み
調査では、単身世帯が充実した暮らしを実現するための工夫や、さまざまな悩みも浮き彫りになりました。具体的な工夫としては「趣味を持っている」「規則正しい生活」などが挙げられ、逆に「孤独死への不安」「物価高」などが悩みとして顕在化しています。また求められるサポートとしては「家事代行」「郵便物の管理」などが多くの支持を集めています。
6. 結論
この調査の結果は、今後の社会において単身世帯の幸福度を高めるための参考となります。単身世帯が抱える特有の問題を理解し、その解決策となるサポートが求められていることが浮き彫りになりました。放置されがちなこの社会的な変化に目を向け、必要なサービスやサポートを提供することで、より幸福な暮らしを実現する手助けができるでしょう。