本郷真也が挑む、伝統金属工芸の再発見と現代美術の融合

本郷真也が切り拓く、鍛金技法の未来

本郷真也の新作「visible01－境界－」が話題を呼んでいます。この作品は、古来の鍛金技法にデジタル技術を融合させ、現代に新たな息吹を吹き込む試みです。鍛金は紀元前から受け継がれてきた金属加工の技術であり、これまで日本では、弥生時代から明治期にかけて、さまざまな製品に使用されてきました。しかし、工業化の波によりこの技法は薄れてしまい、特に特殊な鉄鍛金技術は伝承が途絶えてしまったのです。

鍛金技法の復活

本郷は、独自の研究を通じてその「不可能」とされていた特殊技術を復活させました。彼は、鉄鍛金の多彩な技法を習得した日本でも稀有な存在となっています。この技術の持つ奥深さや魅力を、現代にどう生かすかが彼の大きな課題です。

本作品「visible01」は、こうした歴史的背景を踏まえ、過去の技術を現代のアートシーンに再気付かせる重要な試みです。そして、KOGEI Nextという展覧会がまさにそのプラットフォームとなります。

KOGEI Next展の意義

KOGEI Next展は、工芸作家と現代社会を結ぶプロジェクトです。技術の革新とアートの進化が交錯する場所として、多くの可能性が広がっています。アーティストと企業、学術機関が連携し、工芸と科学、そしてビジネスが結びつくことで、新しい価値を創出するのです。

この展覧会では、アーティストの創造力に対して科学的なサポートを提供し、持続可能な工芸の在り方を提案しています。それにより、100年、200年先に評価される「日本工芸のターニングポイント」をこの時代に残すことを目指しています。

開催概要と参加作家

本展は2021年11月5日と6日の2日間、六本木ヒルズのHills Cafe / Spaceで開催されました。出展作家には、大竹亮峯や鈴木祥太、つのだゆきなど、工芸界を代表する作家たちが名を連ねました。また、古美術鐘ヶ江やクロステック・マネジメントが主催となり、コンセプトに基づいた厳選された作品群が集まりました。

アートハブ・アソシエーションも協力し、文化芸術と経済活動の融合を支援することで、未来に向けた新たな価値を生み出そうとしています。

富山県のCTスキャン技術

本郷の作品への新たな技術導入として、CTスキャン技術があります。こちらは過去の作品や素材を分析し、鍛金技術の精度をさらに高めるために利活用されています。特に、富山県産業技術研究開発センターによる最新のエックス線CTスキャン技術が注目されており、高性能な装置によって材料の内部構造を詳細に解析することが可能です。